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岩×海×空の絶景スポット! 1,600万年前の地層や化石と出会える歴史旅。【石見畳ヶ浦/島根県浜田市】

2019年9月3日

島根でも屈指の奇観を誇る、国の天然記念物!
広大な岩棚の上に波で浸食された奇岩や地層が広がり、地球のパワーと歴史を感じさせてくれます。
近くには観光スポットが目白押しで、日帰り旅行にも泊りがけの旅行にもおすすめ。

まるで天然の博物館! 古代のロマンが息づく島根の名勝。

世界の絶景が、テレビやネットで気軽に見られるようになった時代。
ですが“神話の国・島根”にも、その名に恥じない絶景スポットが多々あります。

そのひとつがここ、『石見畳ヶ浦(いわみ・たたみがうら)』。
約49,000平方メートル(東京ドームよりもやや広い面積)に、海に侵食されてできた奇岩や、珍しい化石がいっぱい!
そのほとんどが名前通りの広大な岩畳で、すぐ側に広がる美しいマリンブルーの海と共に、絶景を織りなしています。

この迫力満点の景色は、2,400万年~1,500万年前にできたもの。日本海ができた過程の産物で、「本当に日本!?」と思ってしまうほどの威容です。

さらに磯に息づくたくさんの生き物達との触れあいも楽しめる、まさに“天然の博物館”です。

満潮の時には、「島根のウユニ塩湖」と呼ばれる絶景が見られる! 磯にたまった水に空が鏡映しになる光景は、新たなインスタ映えスポットとして人気。
環境省の「かおり風景100選」・島根県の「島根ジオサイト100選」に選ばれた。
(「島根のウユニ塩湖ここにあり!」撮影:森春奈氏/2017浜田市デジタルフォトコンテスト・グランプリ作品)

時間帯や天気、潮の満ち引きなどによって刻々と表情を変える不思議。神話の国・島根の大自然を実感!

見渡す限りに広がる平らなスペースは、専門用語で波食棚(はしょくほう/波に侵食された岩棚)と言う。
縦横に入った亀裂が、まるで畳を敷きつめたように見えることから「千畳敷(せんじょうじき)」とも呼ばれている。

この「千畳敷」は、約1,600万年前の地層でできている。
その中には、貝・流木・鯨・生痕(生き物の活動の痕)など多種多様な化石が見られる。保存状態は極めて良好で、学術的にも貴重。

見て、知って、思いをはせて! 地球の歴史と島根の名勝を体感しよう。

『石見畳ヶ浦』の見どころは、大きく分けて以下の4つになります。

1.波の浸食でできた「洞窟や奇岩」
2.貝・魚・木などの豊富な「化石」
3.磯に息づく「生き物」
4.1,600万年前から現在まで続いている「地層」

どれも地球が秘めた巨大なパワーと、何十億年にも渡って進化し続けてきた生命の不思議を感じられる遺物。見逃さないように、順番に見ていきましょう。

●海食崖(かいしょくがい)
駐車場のすぐ横にそびえる、高さ約25mもあるゴツゴツとした崖です。
冬は激しく荒れる島根の海に削られた礫岩(れきがん/小石や岩の破片が積み重なって癒着したもの)や、砂岩(砂が積み重なってできた岩)で、大きさも色もとりどりの断面が剥き出しになっています。

夏や大型連休の旅行は、駐車場が混雑するので気をつけましょう。
※数台分のみ(200円)/周囲に民間の有料駐車場はなし

●賽の河原洞窟(さいのかわらどうくつ)

「海食崖」に掘られたトンネルの先にある、波に削られてできた洞窟です。
その名の通り、真昼でも薄暗く真夏でもヒンヤリしていて、無数の石が積み重なっています。奥には観音様を祀ったお堂がたたずみ、そのまわりにはたくさんのお地蔵様が祀られています。

なお、この「賽の河原洞窟」には、やはり削られてできた開口部があります。
そこからは、日本海の荒波やうずくまった猫のような形の「猫岩」、そして美しい夕日が見られます。

寄せては返す波が、悠久の時を経て広い洞窟を作り上げた。
島根 屈指の不思議スポットで、波の音が反響する洞窟内は独特の雰囲気。夕陽の光景は旅行のとっておきの想い出になるかも?

「賽の河原洞窟」から眺める夕日。西向きの長い海岸を持つ島根は、夕日の美しさでも知られている。

●ノジュール

「賽の河原洞窟」を抜けると、視界が一気に広がります!
この広大な「千畳敷」で目につくのは、可愛いイスのようなポコポコとした形。これは「ノジュール(団塊)」と呼ばれ、砂が中に住んでいた「穿孔貝(せんこうがい)」の殻に含まれる炭酸カルシウムの働きで固まって、さらに周りを波に侵食されてできた岩です。

無数の「ノジュール」の間には、貝殻や流木などの化石がいっぱい!
どれも保存状態が良く、一見、化石とは分からないほどです。

●貝の化石群

二枚貝や巻貝など、多種多様な貝の化石が見られます。
主な種類は「カドノサワキリガイダマシ」で、約1,600万年前の温暖な海に生息していました。この事から、当時の島根と日本海が今よりもずっと温かかったことが分かっています。
(高温の暖流・「古対馬暖流」が流れ込んでいた影響)

また、当時の気温も熱帯や亜熱帯並だったと考えられており、約45種類も存在する貝の化石は、その大部分が南方系のものです。

●流木の化石

海から流れ着いた流木の化石です。
表面には管(くだ)状の盛り上がりが見られ、ここには磯の生き物「フナクイムシ」が住んでいました。


●馬の背

「千畳敷」の右手にある、馬の背中のような形の大岩です。
地層が傾きながら隆起したもので、満潮の時にはまわりが海水に浸かることも。


●きのこ岩

「馬の背」の上に立っている、キノコの形をした岩です。
何個も仲良く並んでいる様子は、まるで現代アートのモニュメントのよう!


●イグアナ岩

やはり「馬の背」の上にある、イグアナのような形の岩です。
化石ではなくて岩が削れてできたもので、自然の不思議を感じさせてくれます。


●ハートのハッピーシェル

「ノムラナミガイ」という貝の断面で、可愛いハートの形をしています。
「千畳敷」には全部で3つあり、全部見つけた人は幸せになれるという噂されています。

その他にも、「馬の背」のまわりにはクジラのアゴの骨の化石や、エイが吐き出した貝殻の化石などもあり。子供連れの自然観察旅行にもおすすめです。

●節理と断層

「摂理」とは、「千畳敷」の上に走る畳のような亀裂です。
これは大地が動いた際にできたもので、「断層」とともに、この『石見畳ヶ浦』が地震や地殻変動によってできたことを示しています。


また、海の近くにはマグマが地表近くまでせり上がってできた「岩脈」もあります。



●めがね橋と海食洞

『石見畳が浦』の東にある金周布漁港に抜ける遊歩道にある橋。
大きな「海食洞」と、落差約3mの小断層を観察できます。


●磯の生き物たち

美しい島根の海に面した『石見畳ヶ浦』には、多種多様な仲間たちがいます。
カラフルなイソギンチャクやアメフラシ、石畳のような模様の巻貝・イシダタミガイ、草履の裏のような形のヒザラガイ、亀の手など、ユニークなものがたくさん!

干潮の時に現れる「潮だまり(タイドプール)」の中を、じっくり観察してみましょう。

ずんぐり可愛いイシダタミガイ。
生き物好きなら丸一日いても飽きない、海の生き物の宝庫。近くに民宿や旅館があるので、泊りがけの観察旅行もおすすめ。

「潮だまり(タイドプール)」の中。いろんな磯の仲間たちがいっぱい!

海の不思議と絶景に出会う旅行。日曜・祝日は”ボランティアガイド”もあり!

このように、まさに“天然の博物館”と言っていい『石見畳ヶ浦』。
ただしあらかじめ見どころをチェックしておいたり、化石などを探す知識を持っていないと、せっかくのスポットをうっかり見逃してしまう心配があります。

そういう旅行者には、日曜と祝日に行われる「ボランティアガイド」がおすすめ。『石見畳が浦』の入り口にガイドが待機していて、無料で案内してもらえます。

いきなり訪れても知識がなくても大丈夫!
この日に合わせて旅行の計画をたてるのも良いかもしれません。

【浜田市観光ボランティアガイドの会・定期ガイド】
時間:約60分
見学コース:約1.0km
(畳ヶ浦入口 → 展望デッキ → ノジュール → 流木の化石 → 馬の背 → ハートのハッピーシェル → 貝の化石群 → 畳ヶ浦入口)
催行日時:毎週日曜日・祝日(9:00~15:00)
※7~8月・12~2月は予約のみ実施
※平日は要予約で案内可


古代のロマンを見て、触れて、感じられる名勝!
地球の不思議と島根ならではの絶景を目指して、ぜひ訪れてみましょう。

車で約7分の『しまね海洋館アクアス』には、『石見畳ヶ浦』の「馬の背」をイメージして作られた「いわみふれあいの磯」がある(2階ミュージアムショップ前)。
石見の磯や海岸に住む生き物たちと実際に触れあえるので、こちらにもぜひ立ち寄ってみよう。

海水浴・キャンプ・アスレチックなどが楽しめる『石見海浜公園』や、『波子(はし)海水浴場』なども近い。ぜひ泊りがけの旅行で満喫しよう!

- DATA
石見畳ヶ浦

HP:http://www.kankou-hamada.org/modules/guide/index.php?action=SpotView&spot_id=1069
住所:島根県浜田市国分町

問い合わせ:0855-24-1085(浜田市観光協会)
休日:年中無休
(無料ガイドツアーは日曜・祝日のみ/7~8月・12~2月を除く9:00~15:00)
設備:公衆トイレ有
駐車場:200円(数台分)
※周辺に民間の有料駐車場はなし
※エリア全体が天然記念物です。化石を傷つけたり、削って持ち帰ったりしないようにお願いいたします
※ゴミは各自お持ち帰りください

取材協力・写真提供:浜田市観光協会/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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