2019年7月27日  -  特産品 / 石材

特産品 / 石材

【福光石の採石場/大田市】室町時代から400年以上に渡って採掘されている、青緑色の神秘的な石。

約1600万年前に海底火山の噴出物(火山灰など)が海底に振り積もり、長い年月をかけて石となっていった“凝灰岩(ぎょうかいがん)”。濡れても滑らない、湿気や匂いを吸い取る、といった優れた性質を持ち、今も昔も様々な物に加工されている。

「福」と「光」を招く縁起の良い石。

「ありふれたもの」「珍しくないもの」といったイメージで語られることが多い「石」。ですが、石ほど人の役に立ち、古くから暮らしを支えてきてくれた存在はそうはありません。

建物や床に、道や橋にと暮らしや交通を便利にしてくれただけでなく、道具や置物などにも加工されて、さらなる利便性や心の潤いまでもたらしてくれました。

常に人と共にあって、身近で支えてくれた「石」。
それらには、確かな個性と地域ごとの特性があります。

今回ご紹介するのは、そんな『福光石(ふくみついし)』です。
大田市温泉津町(ゆのつちょう)の福光(ふくみつ)でしか採れない、淡い青緑色の石。地域の人々の暮らしを、はるか昔の室町時代から支えてきました。

石見(いわみ/島根県西部)特産の『福光石』は、出雲特産の『来待石(きまちいし)』と共に、島根県産の高品質な石材として名をはせている(福光石(中央3つ)と来待石(左右両端2つ)で作られた灯篭)

福光石の特徴は、柔らかく滑らかな感触と、水に濡れても滑りにくい珍しい性質です。さらに適度な吸水性や吸湿性があり、建材に使うと土壁や木材のように湿度を調整してくれます。
加えて嫌な匂いを吸い取ったり、音を吸収するなどのメリットもあり、床・階段・温泉・美術館など、様々な建物や場所に使われています。

熱を遠赤外線に換える性質もあるため、石釜やピザ釜、岩盤浴や遠赤外線プレートの素材としても活用されている。

磨き上げてもマットな風合いを保ち、それが吸水性の高さや滑りにくさとなる(玉造温泉『佳翠苑 皆美』の浴室床)

匂いや有毒物質などを吸着するため、半永久的な消臭・乾燥剤としても利用可能。天日干しすれば再び効果が戻るため、何度でも繰り返し使える。

「福が光る石」という縁起の良い名前から、「あなたに福と光を招く!滑らない福光石」というキャッチフレーズで合格祈願や御守り等のアイテムとしても人気。 御守りは採掘場を見守る石山神社で祈祷を受けている。

石見地方の暮らしを支えた大自然からの贈り物。

『福光石』ができたのは、今から1500~1600万年前です。
日本列島がユーラシア大陸から分かれ始めた古代で、激しい地殻変動による海底火山の噴火によって、火山灰などが海底に降り積もり、長い年月をかけて石となっていきました。

つまり『福光石』は、日本列島とほぼ同じ歳月を経た古代からの贈り物なのです。

そんな気が遠くなるほど昔からある『福光石』ですが、人の手によって掘られ始めたのは、室町時代から。暮らしや交通のための建築を幅広くまかない、家屋・庭園・神社仏閣・土木工事などに活用されてきました。

そして地元の石見を中心に広島や山口にまで販路を広げた『福光石』は、出雲産の『来待石(きまちいし)』と共に、山陰の二大石材として名をはせるように。今もなお、優れた石材として引く手あまたです。

江戸時代中期(1744~1766年)に作られた石見銀山の五百羅漢(ごひゃくらかん)。当時の名工・坪内平七が中心となって制作した石像群は、現代に至るまで目立った損傷や風化もなく、当時のノミ跡も鮮やかなままに残されている。

石見銀山地区に現存する約1万点もの石造物は、そのほとんどが福光石でできている。石見の建築や発展に大きく寄与した(石見銀山・江戸幕府二代目奉行「竹村丹後守(たけむらたんごのかみ)」墓所の修理)。

福光石の美しさや特性は今も昔も変わることなく、建築・造園・彫刻などの材料として重宝されている(テクノアークしまね)。

石見地方特産の『石州瓦(せきしゅうがわら』)や『石見焼(いわみやき)』の釉薬の、増量剤としても使われている。

貴重な『福光石』の採掘をただ一社で担う。

現在 福光石を採掘しているのは、室町時代から450年以上も続く『有限会社坪内石材店』ただ一社です。
かつては多くの採石業者が金棒やツルハシ・金鎚などの手作業によって石を切り出していましたが、今は作業も機械掘りとなり、坑道も坪内石材店の採石場のみが残っています。

壁に刻まれた縞模様の一つ一つが、過去の職人達が石を切り出した採掘跡。

採石場では、まずは横方向に石を採掘していくために、「垣根掘り機械」という機械を使って原石を切り出します。さらに下方向に掘り進めていくために、「平場掘り機」という機械を用いて原石を切断してから、チェーンが切断した溝にくさびを打ち込んで、石山から剥がし取ります。

こうして切り出された『福光石』の原石は、加工場に運ばれて、様々な形に切断された後で用途に応じた表面仕上げが行われます(水磨き・ビシャン仕上げ・小叩き仕上げ・ノミ切り仕上げ・割肌加工等)。

その他にも様々な特殊加工や彫刻などが行えるので、石で作れるほとんどの物に加工できます。

島根県江津市の温泉・有福温泉の湯路(温泉湧き出し口)

こうして加工された『福光石』は、以下のような様々な用途や、施設等に使われています。

・床、壁、浴室などの建材
・道路、石畳、階段など
・庭園、庭石、灯篭、石像など
・温泉施設の浴場
・石碑や記念碑
・石臼や流し台など
・墓石

神秘的な採石場をガイドツアーで見学!

そして大迫力の採石場かつ唯一残っている貴重な坑道は、ガイドツアーで見学することができます
※要予約/前日まで

まるで古代の遺跡や神殿のように見える広大な地下の空間と、異国に続く秘密の抜け道のようにも感じられる坑道は、必見の絶景!
かつて行われていた手掘りの採掘跡と、今行われている機械掘りの様子や工程が見られます。
※採掘作業の見学は行われているときのみ
※山水の浸み出しが多い季節や、危険な作業を行っている時は見学できない場合があります

真夏でも真冬でも約15度前後に保たれている坑内は、夏はヒンヤリ、冬はほのかに暖かく感じる快適な空間。なお、梅雨や台風、秋の長雨の時季は坑内の湿度が100%になり、天井や壁から結露した水滴が垂れてくるため、この時季は避けての見学がおすすめです。

緑深い山道を登り、岩山の間を縫ってたどり着く採石場は、まるで古代の遺跡や神殿を思わせる荘厳な雰囲気!

ガイドツアーの行程は約40~60分。別世界のような地底へのトリップが楽しめる。

「大変貴重なものが見られた」「500年近くも前から続けて掘られている歴史がすごい!」など、滅多にできない体験に感激の声が上がる。

ガイドツアーは現地集合。バス等の公共交通機関は無いので、車またはタクシーで訪れよう(温泉津温泉から採掘場までの地図/ガイドツアー以外での坑道への立ち入りは不可)

神秘の『福光石』をお土産で手に入れる!

なお、ガイドツアーの最後に訪れるお土産コーナーや、坪内石材店のホームページでは、『福光石』で作られた小物類が買えます。

実用的なコースターやペーパーウェイト(文鎮)、花器台などをはじめ、『福光石』の優れた性質を生かした消臭・乾燥剤や入浴剤、観賞魚用の水質浄化石、縁起の良い名前にあやかった御守りなどなど、様々なアイテムが手に入ります。



また、もちろん受注生産による建材や、庭に置く灯篭(とうろう)、水鉢、彫刻などの大物も注文可能。変わったところではピザ等を焼く石釜や、岩盤浴用の岩盤も人気だそうで、ご希望と予算に合わせて様々な物を作ってもらえます。

はるか1600万年の古代から、現代に届けられた大地からの贈り物――神秘的な美しさと「福」が「光」る縁起の良さを、お手元に置いてみてはいかがでしょうか?

- DATA
福光石の採石場(石切り場)

住所:島根県大田市温泉津町福光ハ107-1


<福光石の購入>
HP:https://www.daifuku-izumo.co.jp/fukumitsu-stone/index.html
電話:0855-65-3875(有限会社 坪内石材店)

<採石場(石切り場)の見学ガイドツアー>
HP:http://fukumitsuishi.blog133.fc2.com/
電話:0855-65-2998(NPO法人 石見ものづくり工房)
営業時間:9:30~17:00 (受付16:00まで)
休業日:お盆、年末年始
料金:
1~4名 一律¥1,500
5名以上 大人一人300円 中高校生一人200円、小学生一人150円、幼児無料
20名以上 一人270円

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