2019年4月2日  -  名所 / 神社・寺院

名所 / 神社・寺院

【出雲大峰 峯寺/雲南市】悠久の歴史と大自然の霊気に包まれる、護摩祈祷と精進料理の古刹。

古代出雲の姿をそのまま残す山中に、鎌倉風の伽藍坊舎がこつ然と現れる。

修験道の開祖・役小角が開いたと伝わる、由緒正しい密教のお寺。

“日本神話のふるさと”として知られ、今も多くの神社や仏閣が信仰を集める出雲地方。その奥座敷の雲南市(うんなんし)に、奈良時代から続く密教の古刹(こさつ)があります。

その名は『出雲大峰 峯寺(いずもおおみね・みねじ)』。とかく神社が注目されがちな出雲地方ですが、たたずまいも立地も並々ならぬ存在感を放っており、知る人ぞ知るパワースポットとして参拝者が絶えません。

本堂と庫裏は江戸末期の“重層建築”で築かれている。歴史ある風趣の中で、俗塵からのがれる洗心のひとときを過ごそう。

古代よりこの地に在る悠久のたたずまい。

JR出雲市駅や出雲空港から、車で約30分。雲南市の中心街の三刀屋(みとや)にたどり着いたら、そこから更に細い山道を5分ほど登ります。太古の姿をそのまま残す山は、出雲神話の神々が降臨したと伝わる「峯寺弥山(みねじみせん)」。その中腹にこつ然と現れるのが、威厳と格式を兼ね備えた峯寺の構え。思わず見とれてしまう光景です。

峯寺の始まりは、なんと斉明(さいめい)天皇4年(西暦658年)。日本に仏教が伝来した約100年後に、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)が開いたと伝わっています。

山の麓から徒歩で登れる旧道もある。急坂をたどり、中ほどにある「旧仁王門」を経て九十九段の石段を登れば、かつての修験者達の信心に触れられる(約15分)。

大自然の中で密教の信仰に触れる。

そんな由緒正しい峯寺のご本尊は、密教において全宇宙を司ると言われる大日如来(だいにちにょらい)です。真言宗の開祖・弘法大師空海が唐の国(当時の中国)から持ち帰った曼荼羅(まんだら)の中心に座しており、慈愛と慈悲を漂わせています。

自由に入ってお参りできる峯寺の本堂には、この大日如来様が正面に座しています。
お参りの際は、まずは大日如来の前に座し、静かに手を合わせてみましょう。日本人の暮らしに馴染み、日々見守ってくれている仏様との距離が縮まり、心の中の信心が呼び覚まされるかもしれません。

参道をゆく人々を見守るお地蔵様達。昔ながらの素朴な光景が残る。

日々の行いと向き合う護摩堂と、京友禅の流れを汲む麗しいふすま絵。

本尊の右側に位置する部屋は、不動明王をお祀りしている『護摩堂(ごまどう)』です。護摩供養(ごまくよう/炎とそこから立ち昇る煙によって、天上の仏様に願い事を伝えるための祈祷)を行う場所で、家内安全・病気平癒・交通安全等の日々のご祈祷を受け付けています。

不動明王とは、右手に持つ法剣によって人々の苦しみの原因となる煩悩を斬り、左手に持つ索(さく)で、間違った道に向かう人々を正しい道へと導き直してくれる仏様です。人々の中の悪を咎めるために怒りの表情を表していますが、その姿と静かに向き合うことで、自らの日々の行いを内省できます。

また、本尊に向かって左側に位置する部屋には、桜と梅を描いたふすま絵があります。
これは京友禅のデザインを手がけていた前43世住職の兄が描いたもので、94歳で亡くなったご母堂(41世住職内室)が好んでいた西行法師の和歌にちなんで寄贈されたものだそうです。

「願わくば 花の下にて春死なん その如月の望月のころ」という歌の通り、亡き人を偲んで静かに咲き誇り続ける花々のふすま絵。そこにこめられた慕情とともに、見る人々の心を癒してくれます。

松江と松江城を栄えさせた名君・松平不昧公(まつだいら・ふまいこう)ゆかりの”雲州流平庭”も必見。

風雅な趣(おもむき)たっぷりの日本庭園も。

お参りが終わったら、本堂の右側の回廊をめぐり、裏手にある日本庭園を眺めてみましょう。
こちらは茶人として名を馳せた出雲松江藩の第7代藩主・松平不昧公ゆかりの名園。”雲州流平庭”という形式で、日本最古の風土記『出雲國風土記』にも名が記されている背後の伊我山(現在は峯寺弥山)を借景(しゃっけい)としており、その見事さに目を奪われます。

2月には梅が咲き始め、4月下旬にはツツジが咲き誇ります。この頃は、精進料理の食材に使われるギボウシの芽なども見られます。さらに5月にはサツキ、6月にはギボウシの花、11月になるとイチョウの黄葉と移り変わっていき、四季折々の風情を堪能できます。

「当寺は、山の中に静かに佇んでいるお寺です。普段の多忙な生活から少し離れ、この静かな空気に触れてご自身の体と心を癒していただけたらと思います」と、峯寺の住職・松浦快遍氏は語ります。

訪れる人々をありのまま受け入れてくれる地で、癒しの静寂に浸ってみてはいかがでしょうか?

冬の雪景色も妙(たえ)なる風雅。

体の内外から癒してくれる精進料理。山寺の静寂に浸りながら、一品一品五感を研ぎ澄ませて味わいたい。

多くの人々に愛される、独自の精進料理。

さらに風雅な庭園を眺めながら味わえる精進料理も、峯寺の見逃せない魅力のひとつです。
その由来は、京都・金閣寺の老師の「お接待の教え」を基に、かつて参拝者に供されていた食事でした。あふれる滋味とおもてなしは、昔も今も人々の口福(こうふく)となっています。

献立は3,000円(約9品)・4,000円(約11品)・5,000円(約13品)の3種で、いずれも奥出雲の豊かな食材を生かした峯寺でしか味わえない精進料理です(すべてお抹茶付き/3日前までに要予約)。

仏様に手を合わせ、優雅な日本庭園に心を癒され、精進料理を頂きながら心身を清らかに整える――密教のお寺ならではの体験と「お接待」に、身も心も洗われそうです。

毎年4月15日の「火祭り」の様子。護摩の炎と桜の紅が山を染め、悠久の信仰が息づく様が見られる。

護摩供養の炎に変わらぬ信心を映して。

今も厚い信心を集めている峯寺では、毎月第1日曜日に『護摩供養(ごまくよう)』を行っています。1本300円の「護摩木」に願い事を書いて納めれば、先述の『護摩堂』にてご祈祷していただけます。
なお、1月は2日に『初護摩祈祷』が、2月は 3日に『節分祭厄除護摩』が行われるため、通常とは日程が異なります。

さらに毎年4月15日には、「峯寺の火祭り」の名で親しまれている『花の法要・火祭り柴燈(さいとう)大護摩供養』が催されます。

“出雲修験の根本道場”でもある峯寺には、この日、全国各地から大勢の人々が参拝します。護摩木を一本一本祈念して、お不動様の火に入れておつなぎし、所願成就を祈る祈願会(きがんえ)は壮観の一言! ちょうど桜の季節に当たるため、峯寺弥山全体が華やかに彩られます。

さらに法螺貝(ほらがい)を携えた山伏行列なども行われ、現代に息づく修験道の姿をかいま見れます。

「火祭り」の日は大変混雑するため、山の麓の臨時駐車場からシャトルバスが運行される(場所・時間は毎年要確認)。

33年に1度のみ御開帳される平安期の古仏・聖観世音菩薩が座す観音堂。峯寺弥山一帯が厚い信仰を集めていた歴史が伺える(次回のご開帳は2027年)。

知られざる絶景スポットから雲南市の中心街を一望!

峯寺とその周辺の見所は、これだけではありません。峯寺から徒歩3分の『峯寺遊山荘』では、山小屋風の展望館や、丘に設けられた展望場から、雲南市の中心街を一望できる絶景が楽しめます。
展望館ではドリンクや軽食を注文できるので、ゆったりした空気に浸りながら、奥出雲の山里の眺めを満喫しましょう。

また、和室の宿泊室やコテージも備えています。すがすがしい山の上に泊まって非日常を味わえるほか、古代のままの自然を舞台とした、様々なフィールドワークなども開催。ウォーキング・バードウォッチング・山菜採り・キノコ狩り・星空観察会など、自然に興味のある方にはたまらないスポットです。

峯寺弥山の山頂からは、日本海・宍道湖・島根半島・大山までを望める絶景が広がる!(晴天の日/峯寺遊山荘そばの登山道から徒歩で約30分)。

展望館そばのベンチコーナーからの眺め。早朝には雲海が見られることも。

日本人の心に深く根ざし、日々の暮らしに息づいている仏教。その歴史と信仰の姿に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

古代出雲の神々が降臨した山で、今も連綿と続く修験道の姿に触れる。

- DATA
出雲大峯 中嶺山 峯寺

住所:島根県雲南市三刀屋町給下1381

電話:0854-45-2245
ホームページ:mineji.jp
Facebook:https://www.facebook.com/unnan.mineji
拝観時間:8:30~17:00
駐車場:あり/マイクロバス(長さ7m・車幅2.34m)まで可
※毎年4月15日の「花の法要・火祭り大護摩供」には、麓の臨時駐車場からシャトルバスを運行

【精進料理(抹茶付)】
約9品 3,000円(税別)
約11品 4,000円(税別)
約13品 5,000円(税別)
※時間/11:30~14:00(不定休)
※要予約(3日前まで)

【年中行事】
・月護摩供養
4月15日 花の法要・火祭り柴燈大護摩供養
1月2日 初護摩祈祷
2月3日 節分祭厄除護摩
※その他の月は毎月第1日曜日の午前10時より
※護摩木1本 300円

6月下旬  大峰山 高野山巡拝
12月大晦日 除夜の鐘・松明行列



- DATA
峯寺遊山荘

住所:島根県雲南市三刀屋町給下1586-1

電話:0854-45-5800
ホームページ:http://mineji.noomise.com/

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