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2020年3月2日  -  

地方にも一流の芸術を! ”芸術基地”が人々の情操と才能を育む。【島根県芸術文化センター「グラントワ」/島根県益田市】

美術館と劇場が完全バリアフリー構造で1体となった、日本では珍しいアートの複合施設。
美術展、コンサート、演劇などのバラエティ豊かな催しを楽しめるほか、島根県西部の地場産業・「石州瓦(せきしゅうがわら)」で彩られた、日本を代表する建築家・内藤廣氏の設計による建築も見事!

島根西部の旅の拠点・石見空港にほど近く、空港利用者への特典やイベントもあり。
津和野・萩への交通も便利で、島根西部のアートな旅行スポットです。

旅行でも訪れたい、島根西部のアートの発信地。

絵画をはじめ、たくさんのアートが見られる「美術館」と、流行のライブから伝統芸能まで、多彩なパフォーマンスが観られる「劇場」。

これらは人々の心を潤わせ、才能を目覚めさせたり、豊かな情操を育んだりしてくれます。

その2つが合体したのが、ここ島根県芸術文化センター「グラントワ」(以下「グラントワ」)。
「島根県立石見美術館」と「島根県立いわみ芸術劇場」の複合施設で、島根県の西部・石見(いわみ)地方にアートの風を吹きこみ、そこを訪れる旅行 者にも一流のエンターテイメントを見せてくれます。

2005年のオープニングイベントでは、「小澤征爾 音楽塾 オペラプロジェクト」や「エルミタージュ美術館展」など、世界レベルのアーティストたちを招聘!

さらに2020年の初春には、熱狂的な人気を誇るアニメ監督・「富野由悠季の世界」展を開催するなど、一流の展示やイベントを開き続けている。

その建築もアーティスティック! 島根の伝統工芸×有名建築家のコラボレーション。

「グラントワ」の名前の由来は、「大きな屋根」と言う意味のフランス語 「Grand Toit」 です。

その名を象徴するかのように、傾斜のゆるやかな切妻屋根がなだらかに連なる構造が見事! フィレンツェの赤レンガにも似た石見地方の地場産業・「石州瓦(せきしゅうがわら)」がなんと約28万枚も使われていて、温かなムードを醸し出しています。

石見でよく見られる赤瓦の屋根を、モニュメントの域にまで高めた建築。
これは日本を代表する建築家・内藤廣(ひろし)氏の設計で、自然の風や雨で汚れが落ちるという、エコなメンテナンスフリー機能を兼ね備えています。

耐久性も考えぬかれていて、島根の西部に100年以上はそびえ続けるランドマークとなるように設計。その美しさは、島根の美しい自然と協奏するように馴染んでいます。

外壁にも「石州瓦」をふんだんに使用!
釉薬(ゆうやく/焼き物のうわぐすり)の調合を微妙に変えながら、全6色のグラデーションを織りなしている。

光の当たり具合で建物全体が波打って見えるように配置されていて、その美しさも必見。
この建築を見るために、建築関係者が多く旅行で訪れるほど。

中央に位置する「中庭広場」には、空を鏡のように映しだす25メートル四方の「水盤」がある。
涼感あふれるこのスペースは、誰もがふらりと訪れてくつろいだり、静かに散歩を楽しめる。

「水盤」は水を抜くこともでき、イベント会場としても使われている。

最良の音響と視覚効果で、より美しく鑑賞! 石見の‟芸術基地”にふさわしい、優れた構造。

こうした優れたランドビューにふさわしく、内部もまた機能的。

美術館はA~Dの4つの展示室、劇場は大・小2つのホールと2つのスタジオから成っていますが、これらが中央の「中庭広場」を囲むように、行き来しやすく配置されています。

さらに多目的ギャラリー・レストラン・ミュージアムショップなどもあり、一日中いても不自由しません。

劇場の核となる「大ホール」は、世界的な指揮者・小澤征爾氏も絶賛した国内屈指の音響と設備!
客席は全1,500席で、オペラ・バレエ・ミュージカル・コンサートなど、多彩な舞台を楽しめます。

この「大ホール」の壁は、三次元的な「コンクリート折版構造」。
これは約1.8秒(500Hz/空席時)の残響を生じさせるため、より深みのある、重厚な音と響きを楽しめます。

大ホールの舞台と客席。
どの位置からでも、臨場感あふれる音響と眺めを楽しめる!

さらに美術館のエリアには、大きさや内装が異なる4つの展示室を配置。
それぞれの特徴を活かした個性豊かな展示をしています。

落ち着いたムードの「展示室A」。
絵画・彫刻・工芸品などをシックに演出。

まるでファッションショーの舞台のような「展示室C」。
森英恵氏などの一流の服飾コレクションが、より輝く。

さらに美術館のロビーにある「アートライブラリー」には、美術・音楽・演劇・映画・ファッション・建築などの本を多数取りそろえています。

DVDなどの映像も楽しめ、展示や公演がない時でも、質の高い美術や舞台芸術に触れられます。

知的好奇心を高めてくれる「アートライブラリー」。
過去の公演や美術本などの資料が豊富で、興味と知識を深められる!

大ホール「ホワイエ」。
観客席までの通路と、来場者の社交場&休憩場を兼ねたスペースで、ただ公演を観るだけでなく、劇場ならではの交流が楽しめる。

ハイレベルかつ地域色豊かな催しは、島根を旅する旅行者にも人気!

こうした質の高い設備を持つ「グラントワ」では、全国レベルの展覧会や、石見の風土を反映させたイベントを行っています。

たとえば美術館では、「森鷗外ゆかりの美術家の作品」「石見の作家」「ファッション」という3つの収集テーマを柱に、“石見の美術館”ならではのコレクションを展示。

さらに日本洋画界の巨匠・黒田清輝や、20世紀を代表するフランス近代絵画家・ラウル・デュフィ、世界に名だたるファッションデザイナー・森英恵らの作品など、美術史やファッション史を語る上で、欠かせない作品をコレクションしています。

これらは国内でも有数のコレクションで、島根西部を訪れる旅行 者にも人気!
津和野や萩との旅行 プランに組み込むのもおすすめです。

黒田清輝《ポプラの黄葉》1891年 島根県立石見美術館蔵

ラウル・デュフィ《水上の祭》1920~22年頃 島根県立石見美術館蔵

マドレーヌ・ヴィオネ《イブニング・ドレス》1938年 島根県立石見美術館蔵

森英恵《ジャンプ・スーツ、カフタン》1966年 島根県立石見美術館蔵

さらに美術館エリアでは、年に4回大きな企画展を開催しています。
これも『グラントワ』の学芸員が趣向をこらした『グラントワ』ならではのもの!
“石見”という地にこだわりながら、都市や海外からも旅行 者が訪れるクオリティです。

例えば開館10周年を記念して開かれた企画展「祈りの仏像-石見の地より-」は、中国5県の貴重な仏像を一堂に集めて、島根の内外から好評を博しました。

さらにどの企画展でも多彩な「関連イベント」を開催し、全国各地を巡る企画でも、他の会場とは違った切り口で見せています。

一方 劇場エリアでは、日本が生んだ世界的なバレエ団・「東京バレエ団」が総力を挙げて公演したブルメイステル版『白鳥の湖』や、「NHK交響楽団」のフルオーケストラ、世界最高峰の弦楽器・ストラディバリウスと世界最高峰のオーケストラ・ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のトップメンバーたちによる夢の共演「ストラディバリウス・サミット・コンサート」などなど、東京レベルのコンサートや公演を行なっています。

東京や大阪ではチケットがとりにくかったり、落ち着いて楽しみにくい人気の催しも、ここ島根の『グラントワ』ならゆったり鑑賞!

そんなアートや演劇、音楽の通に噂の、穴場の鑑賞&旅行スポットでもあります。

「東京バレエ団」によるブルメイステル版『白鳥の湖』。
ロシアの振付家ウラジーミル・ブルメイステルが、チャイコフスキーの原曲にたちかえって再構成した、ドラマティックな演出が好評を得た。

島根と石見の才能を育む、様々な取り組み。

その一方で、「グラントワ」は、親しみやすい「市民ホール」でもあります。
島根西部の人々の芸術活動を支援し、その発表の場にもなっています。

その代表的な取り組みが、「グラントワ・フランチャイズ芸術団体」。
島根邦楽集団(和楽器の合奏団)、グラントワ合唱団、グラントワ弦楽合奏団、グラントワ・ユース・コール(子どもの合唱団)の4つがあり、年に数回、首都圏から一流の講師を呼んで指導や共演を行なっています。

たとえばウィーン少年合唱団と共に歌を披露するなど、都会でもめったにできない体験を実現! 地方でも一流の芸術に触れられる機会をもたらし、島根の人々の芸術活動を応援しています。

「グラントワ・フランチャイズ芸術団体」の4つが一堂に会した演奏会。

不定期に開かれている、「いつでもどこでも音楽祭」。
美術館のロビーなどで催される、無料のコンサート。

「地方の芸術基地」の、さらなる挑戦! 島根の感性を育む。

こうして石見の人々と共に歩んできた「グラントワ」は、2019年5月に、ついに入館者500万人を達成しました。

小澤征爾氏が絶賛した劇場「大ホール」の音響は、開館から15年を経て、より円熟味を増したものに進化。そして内藤廣氏による建物は、多くの人々を今なお惹きつけています。

そして、グラントワは、2020年で開館15周年を迎えました。

これを記念して、美術館では
・生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜
・ファッション インジャパン1945‐2020 流行と社会 (国立新美術館と共同開催)
・北斎―永田コレクション名品展
などの企画展を開催。

そして劇場では、松竹大歌舞伎や、劇団四季ファミリーミュージカル、ポップスコンサートなどの他、島根県内の劇場と連携しての、島根の伝統芸能を全国に発信する「しまね伝統芸能祭」を開催します。

美術館・劇場ともに、多彩なラインナップで記念すべきアニバーサリーを演出。
『グラントワ』はこれからも島根の西部から、一流の芸術と、石見ならではの芸術活動を発信していきます。

格調高いレストランも併設。
アートをじっくり鑑賞しながら島根 旅行を楽しめる!

ミュージアムショップでは、ここでしか手に入らないミュージアム・グッズを販売。
島根 旅行の珍しいお土産におすすめ。

- DATA
島根県芸術文化センター 「グラントワ」

HP:http://www.grandtoit.jp/
住所:島根県益田市有明町5-15

電話:
0856-31-1860(代表)
0856-31-1871(総合案内カウンター/チケット対応窓口)

開館時間:8:45~22:00

全館休館日:毎月第2火曜・第4火曜・年末年始
(火曜が祝日の場合は、その翌日以降の最初の休日でない日が休館日)

石見美術館
開館時間:
2020年3月30日まで 10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで)
2020年4月1日から 9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)

休館日:毎週火曜・年末年始

いわみ芸術劇場
開館時間:9:00~22:00
休館日:毎月第2火曜・第4火曜・年末年始
(火曜日が祝日の場合は、その翌日以降の最初の休日でない日が休館日)

※グラントワ・石見美術館・いわみ芸術劇場の休館日は催し等にあわせて変更する場合あり

<旅行 情報のお問い合わせ>
益田市観光協会
TEL:0856-22-7120
https://masudashi.com/

取材協力・写真提供:島根県芸術文化センター 「グラントワ」/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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