2019年5月13日  -  名所 / 史跡・遺跡

名所 / 史跡・遺跡

【松江城/松江市】江戸の歴史を今に伝える勇壮な城

日本にわずか5つしかない「国宝の城」のうちのひとつ。

雄々しくも優美な歴史の遺産。

威風堂々たる姿でありながら、雅(みやび)さも漂わせているお城。
これが出雲の国が誇る国宝・『松江城(まつえじょう)』です。

築かれたのは、江戸時代初期の慶長16年(西暦1611年)。
以来、天守閣は400年以上にも渡って一度も焼けたり建てかえられることはなく、城下町である松江の町並みを見守ってきました。

慶長16年とは、徳川家康公の嫡男・秀忠公が二代目征夷大将軍の座に就いていた時代です。そして松江城に最も長く君臨した松平家は、徳川将軍家の御家門(ごかもん)・越前松平家の流れを汲んでいます。

そんな由緒正しい『松江城』を見れば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚に!
歴史と文化が香る名城です。

江戸時代以前に建てられて、一度も焼失していない「現存12天守」のひとつでもある。
周囲の景観も江戸時代さながら。

戦いに備えた堅牢な造り。

『松江城』の天守閣の特徴は、鳥が羽根を広げたように見える
“入母屋破風(いりもやはふ)”の屋根です。
この形から、「千鳥城」という別名でも知られています。

さらに、城の頂点にそそり立つ鯱鉾(しゃちほこ)は、
高さ2メートル以上もある銅張りの木製。
現存する木の鯱鉾としては、最大の物となります。

そして、その真下に位置する最上階の第五層は、
四方の城下町はもちろん、宍道湖から日本海までをも遠望できる
“望楼式(ぼうろうしき)”です。

周囲には“高欄(手すり)”が巡らされており、
360度の視界を確保して敵の攻城に備えていました。

白壁の部分は少なめで、大部分が黒い“雨覆板(あまおおいいた)”
で覆われています。これは“下見板張り(したみいたばり)”という様式で、
より風雨に強い、質実剛健な造りです。

さらに入り口は、鉄の延べ板張りの大扉と、2つの小広場で守られた
“附櫓(つけやぐら)”で覆われています(手前に張り出した部分)。

こうした臨戦的な造りから、NHKが2018年末に放映した
「あなたも絶対行きたくなる!日本最強の城スペシャル第2弾」
にて、“日本最強の城”に選ばれました。

このように、「残存する唯一の正統天守閣」の名にふさわしい『松江城』。
武士の精神を今に伝える名城です。

武士の精神を表すかのような堅い守り(“二の丸(2重目の城郭)”の石垣と、
5月上旬~中旬に咲く「なんじゃもんじゃ(ヒトツバダゴ)の花)。

時代の空気をそのままに残す。

天守閣の内部も、やはり当時のしつらえのままです。

“穴蔵の間”と呼ばれている地階は、籠城の際に生活物資を貯蓄するためのスペースでした。
中央には深さ24メートルの井戸が掘られており、新鮮な飲み水を確保して、長期間の籠城にも耐えられるようになっていました。

さらに2階(第一層)の四隅と東・西・北側の壁には、城に近づいた敵を攻撃するための“石落とし”の穴が開いています。その他にも、桐で作られた耐火・防腐性に優れた階段や、3年も費やして築かれた強固な石垣など、戦を意識した難攻不落の造りとなっています。

各階の内部には、今は城にまつわる資料を様々に展示。
『松江城』が経てきた歴史に存分に浸ることができます。

強固な石垣は、滋賀県の石垣築成集団『穴太衆(あのうしゅう)』と
大阪の石工達によって築かれた。

“二の丸(二重目の城郭)”に設けられた櫓(やぐら/見張り台)。

敷地内にも見どころが多数! 『松江城山公園』を散策しよう。

天守閣を取り巻く三重の城郭(本丸・二の丸・三の丸)や、
その内側にある建物群も必見の歴史遺産です。

以下にその見どころをご紹介します。

文明開花の空気を漂わせる『興雲閣(こううんかく)』は、
明治35年に建てられた松江市の工芸品陳列所。

当初は明治天皇の行宮(あんぐう/行幸の際に滞在する仮の宮)
として建てられたため、華麗な装飾や彫刻で飾られています。

現在は1階がカフェ、2階が有料で貸切できる大広間となっており、
その他のスペースは自由に見学することができます。

また、初代藩主の松平直政公や、松江城を築いた堀尾吉晴公らを祀った『松江神社』、「耳なし芳一」などの怪談の編さんで有名な小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が好んだ『城山稲荷神社』なども見逃せません。
『城山稲荷神社』の境内に居並ぶ大小様々な石の狐など、それぞれに独特の趣(おもむき)があります。

さらに季節ごとに咲き乱れる桜やツツジ・椿などの花、松江名物の「ぼてぼて茶」や茶菓子などが味わえる茶店も。、歴史に想いをはせながら散策を楽しんでください。

桜の名所でもあり、開花期間中には「お城まつり」が開催される。

城がある“亀田山”の全てが『松江城山公園』となっており、
全体に遊歩道が巡らされている。
天守閣を含む“一の丸(最も内側の城郭)”以外は無料で散策できる。

四季折々の風情を楽しめるイベントも続々。

『松江城』は、ただ眺めたり登ったりするだけでなく、様々な体験もさせてくれます。
四季折々に開かれるイベントに、ぜひ参加してみましょう。

・初日の出 鑑賞(元旦)
先着50名のみ(当日6:30から受付)。
天守閣の最上階(望楼)から、荘厳な初日の出を眺められる。

・椿祭り(3月中旬)
松江の花・椿の展示会。伝統的な品種や稀少種など、80種100鉢以上の椿が初春の城を彩る。
“日本三大やぶつばき群”に指定されている松江城山公園の椿を、ガイド付きで巡れるツアーもあり。

・お城まつり(3月下旬~4月上旬)
桜の開花に合わせて開催される、『松江城』が最も賑わうイベント。
天守閣や桜のライトアップ(期間中は本丸を21:00まで開放)・花見茶屋・
武者行列・島根名物“安来節(やすぎぶし)”のコンクールなどを開催。

・キャンドルナイトまつえ(6月)
夏至付近の土曜日に、ライトダウンされた松江と松江城を2千本のロウソクが彩る。
ロウソクの灯りで描いた絵なども展示。

・秋の名月鑑賞会(9月)
天守閣の望楼(最上階)から、秋の名月を眺められるお月見会。

・松江水燈路(10月)
秋の夜長の1ヶ月間、松江城を中心とした城下町をアートな手作り行灯が照らし出す。
土・日・祝は松江城の天守閣に21:00まで登閣できる。

・天守閣すすはらい
一年の汚れを竹製の「すす梵天」で祓い清める。一般参加も可能。

このように、一年を通じて移り変わる景観を折々のイベントで体感できます。
ぜひ参加して、松江城とそれを取り巻く風雅な文化を満喫してください。

幻想的な灯火で城と城下町が照らされる『松江水燈路』の光景。

城のお堀を船頭付きの船で巡る『松江堀川遊覧船』も、
城を四方から眺められると大好評!(通年運航)

人々の悲願が叶って再び国宝の座に。

こうした豊かな文化と永い歴史を誇る『松江城』ですが、
実は、国宝の座を一度外れたことがありました。

最初に国宝だったのは、1935年~1950年(昭和10年~昭和25年)の間。
“国宝保護法(当時)”によって指定されたものの、昭和25年にできた“文化財保護法”によって、国宝の基準が変更。天守閣が建てられた年が明確でなかったため、国宝の次の「重要文化財」にされてしまったのです。

これを嘆いた島根県と松江市民は、『松江城国宝化推進室』を設立。
資料探しと研究に奔走して、ついに天守閣が建てられた年を記した2枚の“祈祷札”を発見したのです。『松江城』に縁の深い『松江神社』での快挙でした。

この2枚の“祈祷札”は、松江城の柱にピタリと嵌(は)めることができました。その他にも、同時代の木材が城の一部に使われていることなどを証明し、国宝の再指定を叶えたのです。

まさに、松江と『松江城』を愛する人々の快挙。
こうして再び国宝となった『松江城』は、今日も多くの人々で賑わっています。

雪化粧の松江城。山陰では12~3月頃まで雪が降る。

- DATA
松江城

HP:https://www.matsue-castle.jp/
住所:島根県松江市殿町1-5

電話:0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
休日:年中無休
※駐車場については、こちらから確認ください。

<登閣時間>
4月1日~9月30日: 8:30~18:30(受付は18:00まで)
10月1日~3月31日:8:30~17:00(受付は16:30まで)

<本丸開放時間>
4月1日~9月30日: 7:00~7:30
10月1日~3月31日: 8:30~17:00

<登閣料>
大人:670円(530円)
小人(小・中学生):280円(220円)
外国の方: 330円(小人140円)
※障がい者手帳、療育手帳などの所持者及び介護者1名は無料
※(  )内は団体(30名以上)料金

<3館共通券>
大人:1090円
小人(小・中学生):500円
1.松江城・小泉八雲記念館・武家屋敷
2.松江城・小泉八雲記念館・小泉八雲旧居
の2種類。各施設の窓口で販売。
※3館共通券を提示すると下記の施設で料金割引あり
松江歴史館・小泉八雲旧居・武家屋敷・堀川遊覧船・明々庵・月照寺、その他

<2館共通券>
1.松江城天守閣、松江歴史館(基本展示のみ)
※1種類のみ
大人:930円
小人(小・中学生):420円

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