2019年8月19日  -  名所 / 神社・寺院

名所 / 神社・寺院

【長浜神社/出雲市】出雲の国を“国引き”した、勝運・武道・スポーツ・不動産の神様。

“国引き神話”の主役・八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)をお祀りする神社。出雲大社にお祀りされている大国主命の祖父神にあたり、古来より多くの戦国武将や松江藩主・松平家などから厚く信仰されてきた。
現代でもアスリートや受験生など「勝利」を願う人々が絶え間なく参拝するほか、“国引き神話”にあやかって不動産業の人々からも信仰されている。

“国引き神話”のレリーフ(道の駅「大社ご縁広場」に設置)。碑銘は「未来を拓く」で、八束水臣津野命が「出雲の未来を切り拓いた神様」であることを示している。

国を引きよせ、人を引きよせ、幸を引きよせた偉大な神様。

「出雲の国」の始まりを記した“国引き神話”。
あまりに有名なこの物語の主役が、ここ『長浜神社』にお祀りされている「八束水臣津野命」です。

ことの始まりは、当初の「出雲の国」が小さかったこと。そこで八束水臣津野命は、「最初に国を小さく作りすぎてしまった。作り足して大きくしよう」と言われて“国引き”を決意しました。

そして「出雲の国」の周囲を見渡し、「新羅(しらぎ/朝鮮半島の西側)」の岬に余った土地があるぞ」とこれを引き寄せることにし、三つ綯いに作った太い綱をかけて「国来い」「国来い」と手繰り寄せ、島根半島の一部にしました。

ここを繋ぎ止めるために立てた杭が、島根県の中央にそびえる三瓶山(さんべさん)。そして土地を引き寄せた綱は、『長浜神社』の海側に広がる「薗の長浜(そののながはま/神在月に“八百万(やおよろず)の神々”をお迎えする「稲佐の浜」を含む海岸)」となりました。

「薗の長浜」に沈む夕日。『長浜神社』の海沿いから遥か三瓶山へ向かって広大に延びる砂浜は、まさに「神が持ち引ける綱」。夕日の美しさで知られる絶景スポットでもある。

続いて八束水臣津野命が引き寄せたのは、「佐伎の国」の余り・「良波の国」の余り(現在地不詳)で、最後に「珠洲の岬(北陸地方)」の余りも引き寄せて、合計4つの土地を縫い合わせて「出雲の国」を現在の姿にしました。

このとき綱をかけた杭が、鳥取県の大山。引き寄せた綱は、全長17kmにも及ぶ「弓ヶ浜」になりました。

「弓ヶ浜」の眺め。日本海に面した長大な砂浜は、鳥取県の大山(だいせん/右奥の山)付近まで続いている。

こうして壮大な“国引き神の偉業を終えた八束水臣津野命は、「勝運」「武運」「不動産」などの神様として崇められるように。その偉業から、“国引き神話”も広く言い伝えられるようになりました。

そして国引きの綱とされる「薗の長浜の妙見山」に、八束水臣津野命とその御后神が祀られ、今日まで続く『長浜神社』として現在に至るまで、長く信仰され続けています。

八束水臣津野命は「出雲」と「島根」の名付け親でもある。このエピソードは日本最古の神話を伝える書物の一つ『出雲国風土記』の冒頭に記されており、「出雲」の由来となった「八雲立つ」という言葉は、今もなお出雲のキャッチフレーズとして使われている。
また、出雲大社の旧名である『杵築大社』の「杵築(きづき)」と、“国引き”を終えたさいに「おえ」と言って杖を突きたてられた場所「意宇(おう)」の名付け親ともなった。
(『長浜神社』社務所内の絵図)

出雲大社が『出雲大社』と呼ばれるようになったのは、明治時代から。それ以前は大国主命の祖父神であり、出雲の名付け親でもあった八束水臣津野命を祀るここ『長浜神社』が、「出雲」の名を冠して『出雲神社』とも呼ばれていた(出雲国風土記・延喜式(平安時代の法令集)の記述より)。

『長浜神社』のお膝元では、“忌明け”の後に海で体を清めて、その証として海草を持って『長浜神社』にお参りする風習がある(厳藻(いづも)かけ)。この神聖な供物でもある海草は、「いづも」と呼ばれて「八雲立つ」以前の”いづも”という言葉の語源となった。

神代の昔の“国引き神話”に想いをはせて、私達が暮らす国の成り立ちや自らのルーツを感じ取ってみよう。

『長浜神社』のご利益と信仰の歴史

“国引き”をして『出雲の国』を現在のように発展させた八束水臣津野命は、様々な武将達から厚く信仰されてきました。

その代表的な人物は、戦国武将・加藤清正。豊臣秀吉に命じられた朝鮮出兵の前に、『長浜神社』に100日間連続で祈願を行いました。
さらに朝鮮出兵の緒戦が連戦連勝だったことから、太閤・秀吉がいたく喜んで「桐の神紋」をはじめとする様々な恩賞を奉納しました。その恩賞を納めに来た片桐且元が、弓を立て掛けたと伝わる松『弓掛の松』は、今も境内にそびえています。

「弓掛けの松」。直径2m近くもある幹は、「勝運の神社」の御神木にふさわしい威厳を放っている。

『長浜神社』は「八大神徳」で知られており、北辰(北極星)と北斗(北斗七星)の星に祈る“妙見信仰”とあわさった「勝利」「災厄の回避」「病気平癒」、そして“国引き神話”にちなんだ「不動産守護」と「悪縁絶ち良縁引き」、さらに境内社(けいだいしゃ/境内の中にある社(やしろ))にちなんだ「子授け・安産」「交通安全」「商売繁盛」のご利益がある。

多彩なご利益にあずかるために、礼儀正しくお参りしよう。

『長浜神社』の壮大な歴史とご由緒を知ったら、いよいよ格調高い境内をお参りしてみましょう。

まずは鳥居を一礼してからくぐり、手水で手と口を清めます。そして参道を神様が通る中央を避けて進み、拝殿(しめなわが飾られている正面の建物)にお参りします。

御祭神へのお参りの作法は、ベーシックな「二礼二拍手一礼」です。
(おじぎを二回・かしわ手を二回・お祈りをささげる・深くお辞儀をする)

これは一部の神社を除いて、一般的なお参りの作法となっています。一部の特殊な神社の作法を「出雲の神社すべてに共通の作法」と解説しているサイトなどもありますが、こちらが正解ですのでよく覚えておきましょう。

御祭神へのご挨拶を終えたら、今度は境内を「左回り」に巡っていきましょう。

一般的な神社は本殿のうしろが山や崖となっており、周囲を巡れない造りとなっていますが、出雲の神社はだいたいが一周できるようになっています。そのため、この「左回り」も出雲の神社の一般的な参拝の作法となっています。(神様がいらっしゃる場所(御神座)を上座にしながら巡る)。

ただし、御神座の位置によっては右周りで参拝する場合もあります。これは注連縄(しめなわ)の太い細いの向きで見分けることができ、神様の上座=注連縄の太い側となっています。

『長浜神社』をはじめとして、ほとんどの神社の注連縄は参拝者から見て右側が太く(神様の上座)、左が細く(神様の下座)なっています。そのため神様の下座となる、左側からお参りするのが礼儀です。

『長浜神社』の拝殿(奥の建物)に掲げられた注連縄は、稲わらを千5百把も使って編み上げられた「出雲流」。太さの向きで御神座の位置=お参りの作法がわかるので、よく注目してみよう。

■春日神社

拝殿の左奥に進むと、妙見山の木々に囲まれた『春日神社』が見えます。
そして見事な大社造変態(神社の最古の建築様式のひとつ)で造られた「本殿」が右手に見えるので、その歴史に想いをはせながらお参りしましょう。

■本殿

御祭神がいらっしゃる「本殿」を拝みながらその裏を回ると、今度は珍しい三連式の鳥居が姿を現します。

■三社鳥居

こちらは大和の国一宮『大神神社』の三ツ鳥居にちなんだ鳥居です。そしてその奥には、「夫婦円満」「子授け」「安産」などのご利益がある『夫婦石』が鎮座しています。

■夫婦石

仲良く並んだ『夫婦石』は、まさに夫婦円満の象徴! ご利益を望む方は、それぞれの石を撫でながらお祈りしてみましょう。

そして次に見えてくるのは、2つの並んだ社(やしろ)です。

■天神社

■稲荷神社(正一位稲荷大明神)

『稲荷神社』は平成3年(1991年)に台風19号が出雲に直撃した際に、被害を一身に受けて「折身代わり稲荷」と呼ばれるようになりました。『天神社』と共に森閑とした杉の古木の奥にたたずんでおり、神秘的な空気をかもしています。

「試験に勝ち、試合に勝ち、自分に勝つ」バラエティ豊かな御守りの数々。

境内を一周してお参りを終えたら、今度は拝殿の左手にある「社務所」で御守りを授与して頂きましょう。

『長浜神社』の御守りは、出雲の神社でも屈指の種類の多さを誇っています。古式ゆかしい伝統的な御守りから、オリジナルのユニークな御守りやおみくじ・絵馬などがあるので、お好みと願掛けの内容によって選んでみましょう。

■勝ち守り

一番人気は「勝運」をもたらしてくれる「勝ち守り」です。
“綱引きの祖”である八束水臣津野命にちなみ、スポーツの試合・受験・人生の大勝負など、全ての勝負に運を授けてくれます。
裏側には、“武将の守り神と”してあがめられてきた北斗七星の7番目の星・「破軍星」が描かれており、さらにご利益を高めています。

■お願い御喜常さま

妙見山の『稲荷大明神』は、お参りした人のお願いを「今(コン)」といって聞き届けてくださる神様です。紙に願い事を書いて、折って珠に入れて、願い木(写真右)にかけるか持ち帰りましょう。

■縁結び手形・願い綱

木の手形と綱がセットになった、願掛け用の絵馬です。
手形に願い事を書き、三瓶山の麓にある『佐比賣山神社』の「叶え杭」に結べば、「福を繋ぎ止めて願いが叶う」と言われています。
“国引き神話”ゆかりの聖地を巡って、より深く出雲の始まりを体感してみてはいかがでしょうか?

■鯛釣りおみくじ

海に縁の深い『長浜神社』ならではの、可愛い鯛の形のおみくじです。釣竿でお好みの鯛を吊り上げて“めでたい”ご利益にあずかりましょう。

■病気平癒御守り

スポーツのケガ予防や、すでにかかってしまった病気やケガの回復祈願に、頭・目・口歯・足腰・手肩・内臓・耳鼻・皮膚・気(精神)の9種類から選んで携帯できます。

■勝ち抜き絵馬(右上)

強い心で勝負に「勝ち抜ける」ように、心を模したハートをくり抜いて奉納する絵馬です。くり抜いたハートは穴にストラップ等を通してキーホルダーにできます。
また、“国引き”を行われた八束水臣津野命の姿を描いた伝統的な絵馬などもあります。

このほかにも、バラエティ豊かな御守りやおみくじが多数あります。古式ゆかしい御守りからファンシーな御守りまで様々にあるので、世代やお好みを問わずお気に入りが見つかるでしょう。

珍しい御朱印で神様とのご縁をいただこう!

また、参拝の証として頂ける「御朱印」もとても個性的です。
(初穂料 一律500円/受付時間 8:30~17:00)

絵心にあふれた宮司さんと禰宜(ねぎ/宮司に次ぐ神職)さんによる、手描きのイラスト入りの御朱印はかなりのレアもの。しかも絵柄は定番4種類+月替わりの5種類があり、季節感にあふれた御朱印を頂けます。

ただし、持参した御朱印帳に直接 揮毫(きごう/書くこと)してもらえるのは、宮司さんか禰宜さんがご在所のときのみ。それ以外は、写真のようにあらかじめ紙に書かれた御朱印に、日付を入れて頂く形になります。
金字で『長浜神社』と書かれた御朱印(写真上段の中央)も同様です。

格調高い木の表紙の御朱印帳もあるので、御朱印帳を忘れても大丈夫。

“国引き神話”を再現する秋の例祭。

また、『長浜神社』では毎年10月上旬の日曜日に、“国引き神話”にまつわる神事とお祭りが催されます。
令和元年の今年は、「体育の日」に合わせて10月13~14日に開催。
「勝利とスポーツの神様」にふさわしい勇壮な「ジャンボ綱引き大会」などは、迫力満点です!

【令和元年 長浜神社 例祭】
10月13日(例祭)
10月14日(神幸祭)
9:00~ 祭典
10:00~ ジャンボ綱引き大会(年齢・体重の制限なし)
その後、神楽奉納・剣道大会・ジャンボ福引き大会などを開催

「ジャンボ綱引き大会」で使われる直径84mmもの太綱。普段は拝殿の中に収められており、“国引き神話”のご由緒を参拝者に伝えてくれる。

出雲の始まりを知り、自らの原点を知る旅。

こうした多くのいわれや歴史を持ち、『出雲の国』の原点を知ることができる『長浜神社』は、出雲を訪れたならぜひお参りしておきたい神社です。
また、より深く『長浜神社』のご由緒を知りたい方は、宮司の秦和憲 (はだ・かずのり)氏のお話を動画で聞くこともできます。

『出雲の国』の基礎を築いた、“始まりの地”とも言える神社。
日本人と自らのルーツを知るために、ぜひ訪れてみたいものです。

森閑としたオアシスのような境内を巡り、出雲と日本の成り立ちを知る。

- DATA
長浜神社(ながはまじんじゃ)

HP:http://www.nagahamajinja.com/
住所:島根県出雲市西園町上長浜4258

電話:0853-28-0383(8:30~17:00)

<アクセス>
■公共交通機関
JR出雲市駅 ~ バス(スサノオ観光バス・外園線「長浜神社前」下車) ~ 徒歩(約10分)
■車
①JR出雲市駅から15分
②山陰自動車道「出雲IC」から10分
③出雲空港から25分

<駐車場>
3ヶ所/神社入口・山の中腹・山の上(境内の横)
普通車70台・大型バス3台
※大型バスは「神社入口(県道279号横)」の駐車場のみ利用可
※普通車は参道横の車道から境内の側まで登れます

※写真提供:長浜神社/無断転載禁止

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