2019年10月6日  -  名所 / 景勝地

名所 / 景勝地

【鬼の舌震/奥出雲町】奇岩と渓谷が奏でる大自然のアート!

巨岩と渓谷美の競演が素晴らしい、奥出雲の深山にある名勝。
神代の昔、玉日女(たまひめ)という美しい女神が住んでいたという伝説があり、その姫を恋い慕ったワニ(サメの地方名)が夜な夜な川を遡って会いに来ようとした。だが、ワニを嫌った玉日女は川を巨岩でせき止めて、この見事な奇勝ができあがったと伝わっている。
見事な威容と奇観から、国の天然記念物と島根県立自然公園に指定されている。((c) 奥出雲町観光協会)

悲恋の伝説が残る秘境の名勝。

秋に楽しみたい、大自然の中でのウォーキングやトレッキング。それを奇岩が連なる大迫力の渓谷で、誰でも気軽に楽しめるスポットがあります。

ここは『鬼の舌震(おにのしたぶるい)』。
約2.3kmに渡って見上げるほどの巨岩が連なったり積み重なったりしている、絶景と驚きに満ちた名勝です。見るからに険しそうなのに、約2kmのメインルートはなんとバリアフリー化済み!

「絶景は楽しみたいけれど、本格的な山歩きはちょっと…」
「車椅子やベビーカーの家族と一緒に素敵な景色を楽しみたい!」
という方々にもおすすめです。

秘境の奇勝を誰でも気軽に散策できる、全国的にも珍しいスポットです。

巨岩と渓谷美の競演を、楽々ウォーキングで楽しもう!

両岸には自然のままの広葉樹林が広がり、今では珍しくなったイヌブナやシデなどの大木も見られる。

中国山地の地質が造り上げた奇観。

『鬼の舌震』があるのは、出雲平野を潤す雄大な一級河川・「斐伊川(ひいかわ)」の支流、「大馬木川(おおまきがわ)」の上流です。

この「大馬木川」の急流が長年かけて中国山地の谷や岩を削り、現在のV字型の渓谷を作り上げました。川の両岸は切り立った絶壁で、渓流の中には形も大きさも様々な巨岩が転がっています。

さらに川の中にも深い淵(ふち)や甌穴(おうけつ/川が渦巻状の流れとなった箇所で石や砂がたまって回り、岩を丸く削ってできた穴)などの見どころが多数! 自然のパワーと不思議を感じられる奥深いスポットです。

川の底にある大小の甌穴も見どころのひとつ。渦巻き、逆巻く流れの迫力とともによく観察してみよう。

『鬼の舌震』の岩々は、「黒雲母花崗岩(くろうんも・かこうがん)」という白・灰色・黒・薄ピンクが混じりあった美しいもの。これは中国山地を形成する代表的な岩石で、水や風に侵食されやすい性質がある。そのため大馬木川の急流に削られ、深いV字型の谷と多種多様な形の巨岩となっていった。

岩に含まれている黒雲母(くろうんも/光沢のある黒い石)や、石英(せきえい/ガラスの原料にもなる透明~半透明の石)が、日光や水しぶきを浴びてキラキラ輝くこともある。じっくりしっかり観察してみよう。

不思議な名前の由来は何? 姫に恋したワニ(鮫)の伝説。

『鬼の舌震』という名は、日本最古の地域の言い伝えなどを記した書物・『出雲国風土記』に記された一文が由来だと言われています。

「戀山(したいやま/『鬼の舌震』の古名)には、ここに住む玉日女(たまひめ)を恋い慕う日本海の和仁(ワニ=サメの地方名)が、夜な夜な泳いで上って来ていた。しかしこれを嫌った玉日女は、巨岩で川をせき止め和仁を阻んでしまった。そして玉日女に会えなくなった和仁は、ますます玉日女を恋い慕うようになった」

この中の「和仁のしたふ」という一文が、「おにのしたぶるい」という風に訛っていったのではないか、と言われています。

ですが、まるで鬼が砕いたり積み上げたかのような巨岩の数々が、人々のイメージを一般的な「鬼」に紐づけていったのかしれません。
それを示すかのように、ルート上には「鬼の洗濯岩」「鬼の落涙岩」「鬼の試刀岩」といった名の奇岩も多数あります。もっとも元の伝説のワニ=サメが、失恋の悲しみで涙をこぼしたり、玉日女に身なりを整えて会うために洗濯していたのかもしれない、といった想像も楽しいものです。

数々の奇観と不思議でロマンチックな伝説の関係に想いをはせてみよう。

起伏も高低も豊かなルートは、全工程が驚きの連続!((c) 奥出雲町観光協会)

約2.3kmのルートを効率よく巡る!

『鬼の舌震』は、遊歩道の上流と下流に2ヶ所の駐車場があります。どちらからでも散策できますが、目的に合わせて以下のコースで巡るのがおすすめです。

●代表的な見どころを効率的に巡りたい! ・・・ 約2.1km
宇根駐車場(下流)→玉日女橋→天狗橋→清心亭(休憩小屋)→舌震の“恋”吊り橋→宇根駐車場

●全てのルートをじっくり見て周りたい! ・・・ 約3.3km
宇根駐車場(下流)→玉日女橋→天狗橋→清心亭(休憩小屋)→舌震上橋→舌震の“恋”吊り橋→宇根駐車場

●バリアフリーで気軽に散策したい!(足腰に自信がない方・車椅子・ベビーカー向け) ・・・ 約2.3km
下高尾駐車場(上流)→舌震大橋→清心亭(休憩小屋)→舌震の“恋”吊り橋→宇根駐車場(下流)

駐車場はもうひとつ、全行程のなかばあたりに出られる「雨川駐車場」もありますが、こちらは駐車場からメインルートまで約800mもある上に、その途中は足場の悪い急な坂です。このため「宇根駐車場」か「下高尾駐車場」を利用するのがおすすめです。

遊歩道は平坦で歩きやすいが、水しぶきで滑りやすい箇所もあるので気をつけよう。

絶対に見逃せないハイライトはここ!

ルート上の珍しい岩や景観には、それぞれの特徴に合った名が付けられています。
水瓶(はんど)岩、猿渡り、大亀岩、雨つぼ、大舞台などなど、イメージが膨らむものばかり! 観光案内所や周囲のお店でもらえる散策マップを片手によく探してみましょう。

中でも代表的な見どころは、以下の2つです。

●舌震の“恋”吊り橋

((c) 奥出雲町観光協会)

下流の「宇根駐車場」のすぐ側、メインルートの最初に現れる大吊り橋です。
高さ45m・長さ160mもの大きさで、目もくらむような高さから見おろす渓谷は大迫力! なのにここもバリアフリー化されており、平らで広い歩道を楽々歩けます。

「宇根駐車場」と「舌震の“恋”吊り橋」の間には、休憩&食事スポットの「舌震亭(したぶるいてい)」があります。散策前の腹ごしらえや、散策後の休憩に最適で、奥出雲名物の蕎麦・ぜんざい・甘味などを頂けます。

●水瓶(はんど)岩

((c) 奥出雲町観光協会)

メインルートの中ほどにある、『鬼の舌震』の中でも最も有名かつ不思議な岩です。約30mの高さの山肌からせりだした岩の上に、水瓶のような形の大岩が絶妙なバランスでそそり立っています。

昭和の初め頃まで、山陰地方の家庭で水を貯めるために使われていた水瓶(はんど)に似ていることから、この名がついたそうです。岩の周囲にはぐるりと周れる小道が通っており、下からも上からも眺められます。

ただし、この小道は非バリアフリーの険しい山道なので、車椅子やベビーカー連れの方はメインルートから見上げるだけにしましょう。メインルート上には休憩小屋(清心亭)があるので、そこで待ち合わせるのもおすすめです。

今にも転がり落ちてしまいそうな巨石に圧倒される!

ほかにも下記のような奇岩や見どころがいっぱい! 
それぞれ伝説やいわれがあるので、見逃さないようにしましょう。

●鬼の落涙(らくるい)岩

なかば水中に埋もれた、目のような甌穴(おうけつ)がふたつ開いている岩です。このくぼみに流れ込み、流れ出す水流はまるで鬼が泣いているように見えます。

●烏帽子(えぼし)岩岩

「節理(せつり/長年の風化によって生じた板や柱のように規則正しい割れ目)」によって、昔の男性用の帽子のような形となった岩です(左奥)。この「節理」によってできた奇岩が『鬼の舌震』には多数見られます。

四季折々の表情も見事!

それ自体が素晴らしい『鬼の舌震』ですが、春・夏・秋ごとにさらに多彩な表情を見せてくれます。季節を変えてぜひ何度も訪れてみましょう。

●春 ~ 清流が澄み渡る花々の季節~

((c) 奥出雲町観光協会)

豪雪地帯の奥出雲では、3月上旬頃まで大雪が降ることがあります。快適に散策できるのは、3月の下旬~4月始め頃から。

4~5月は渓谷沿いに天然の岸ツツジが咲き誇り、ピンクや紫の華やかな彩りを添えてくれます。気候も涼しく水流も穏やかで、のんびり散策できる季節です。

●夏 ~ 涼感たっぷりのすがすがしい季節

((c) 奥出雲町観光協会)

山と木々の緑が濃くなって、豊かな生命の息吹が感じられます。梅雨以降は渓流の勢いも増して、迫力ある流れが楽しめます。
真夏でもヒンヤリとした涼感が漂う、天然ミストのしぶきが心地よい季節です。

●秋 ~ 最も美しく輝く錦秋の季節

((c) 奥出雲町観光協会)

『鬼の舌震』が最も美しく彩られる、ゴージャスな錦秋の季節です。赤や黄色に染まった木々と常緑樹のコントラストが素晴らしく、遊歩道が多くの行楽客でにぎわいます。

“蕎麦どころ”として有名な奥出雲町では、この季節に「新そば祭り」が行われます。令和元年は
11月2日(土)~11月17日(日)
に開催されるので、グルメとセットで楽しむのもおすすめです。また、近隣の名所や旧跡でも見事な紅葉や大イチョウなどが見られます。

●冬 ~ 雪に閉ざされる眠りと静寂の季節

深山の秘境にある『鬼の舌震』が、長い眠りにつくシーズンです。
12月下旬~2月下旬頃まではルート全体が雪に覆われることが多く、除雪も行われないため、立ち入りは難しくなります。

雪が積もらなくても凍結や厳しい寒さが懸念されるため、来春以降の絶景を楽しみにしてください。

『鬼の舌震』があるのは、「JR出雲三成駅」から車やタクシーで約10分の場所。ここを含む奥出雲町(おくいずもちょう)には名所・旧跡・グルメスポットが多く、それらとセットでの観光がおすすめです。

また、窓のない客席から手が届きそうな景観を楽しめるトロッコ列車『奥出雲おろち号』も運行されています。鉄道でもマイカーでも、郷愁豊かな旅が楽しめる町。他では体験できない想い出作りにぜひお越しください。

トロッコ列車『奥出雲おろち号』。昔懐かしい田園風景と迫力ある山岳地帯を乗り継ぐ、旅情豊かな旅が待っている。

- DATA
鬼の舌震

HP:https://okuizumo.org/jp/guide/detail/239/
住所:島根県仁多郡奥出雲町三成1417-6

お問い合わせ:0854-54-2260(奥出雲町観光協会)
料金:無料
休業日:なし(冬季は積雪が多く、除雪もされないため入場はお控えください)
アクセス:JR出雲三成駅から車で10分、県道25号線を高尾方面

<駐車場>
宇根駐車場 大型車10台、普通車50台
下高尾駐車場 大型車15台、普通車50台

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