2019年4月1日  -  名所 / 景勝地

名所 / 景勝地

【雲南市の桜並木/雲南市】“日本さくら名所100選”に選ばれた、中国地方随一の桜の名所。

まるで街全体がピンクの綿菓子に包まれたかのよう! どこを見渡しても桜が咲き誇る、夢のような光景。

街一面が桜色に染まる、春だけの絶景。

見渡す限りのピンク、ピンク、ピンク!
4月の初旬、奥出雲の玄関口にあたる雲南市が、あたり一面桜色に染まります。
「中国地方髄一の桜の名所」として、知る人ぞ知るお花見スポット。街全体に多数の桜が植えられています。
その華やかな魅力を満喫するために、代表的な名所から、地元の通しか知らない穴場までご紹介します。

JR出雲市駅・出雲空港から車で約30分。列車ならJR山陰本線から木次本線に乗り継ぎ約1時間半。

色や形など、様々な品種の桜がある。違いをよく観察してみよう。

珍しい緑の桜“御衣黄(ぎょいこう)”も必見!

多彩な種類の桜が半月近くも咲き誇る、夢のような光景。

雲南市の桜の名所は、大きく分けて2ヶ所あります。
まずはJR木次駅にほど近い、県道45号線沿いに広がる『斐伊川堤防桜並木』。その名の通り、出雲地方を雄大に貫く斐伊川の堤防沿いに広がっており、全長は約2kmにもなります。
植えられているのは、ソメイヨシノ・エドヒガンオオシマ・ジンダイアケボノ等の約800本。堤防上の遊歩道の両脇に植えられているため、伸びた枝々が“桜のトンネル”を形作っています。通り抜ければ、まるで違う世界に迷いこんだかのような気分に! 春にだけ味わえる幻想的な体験です。

堤防の上にあるので斐伊川の眺めも抜群! 川原で思い思いにくつろぐ人も多い。

開花期間中の夜は、日没~23時頃までライトアップを実施。夜店を回りながらそぞろ歩いてみよう。

穴場の展望スポット『木次公園』からの眺め。斐伊川堤防並木と木次の街並みを一望できる。

斐伊川堤防桜並木を一望できる穴場!

斐伊川堤防桜並木から少し山側に登った『木次公園』も、ぜひ足を伸ばしてみたいスポットです。細い山道を車で約5分登り、狭いつづら折りを行き交う必要があるため、運転に自信のある方向けですが、頂上からの眺めはまさに絶景! 公園の端に設けられた展望場から、斐伊川堤防桜並木と雲南市の中心部を一望できます。

こんもりとした可愛い山全体に植えられている桜は、全部で約400本。斐伊川堤防並木から見上げても、ピンク色に染まった光景を楽しめます。

なお、車で『斐伊川堤防桜並木』と『木次公園』を訪れる場合は、斐伊川の沿岸にある“特設駐車場(無料)”を利用しましょう(開花期間中のみ)。県道45号から県道271号に入った先にあり、誘導看板が出ています。常設の駐車場(無料)は木次駅前商店街に数ヶ所ありますが、開花期間中は大混雑します。

4月上旬~4月下旬まで、ソメイヨシノと御衣黄が次々に咲き誇る『三刀屋河川敷公園』。

対岸の山頂にある『三刀屋城址公園』からは、ソメイヨシノと御衣黄の並木を一望できる。

第2の名所『三刀屋河川敷公園』も見逃せない! 珍しい緑の桜『御衣黄』は必見。

雲南市の桜の名所は、他にもあります。
国道54号を広島方面に進み、雲南警察署の少し手前の右側に広がる並木は、『三刀屋河川敷公園』と呼ばれる第2の名所。対岸の小道から登れる『三刀屋城址公園』と共に、もうひとつの絶景スポットとして知られています。

約700本もあるソメイヨシノも壮観ですが、ここの魅力はなんといっても緑の桜・『御衣黄(ぎょいこう)』。
全国有数の118本 (平成29年4月20日現在)という並木を誇り、ソメイヨシノから2週間ほど遅れて咲き誇ります(見頃は4月中旬)。

なお、御衣黄の並木が見られるスポットは、全国的にも非常に希少です。発祥の地と言われる京都の仁和寺を含め、数本程度しかない名所がほとんどだからです。『三刀屋河川敷公園』を上回る規模は、佐賀県嬉野市の横竹ダムくらいしかありません。

ちなみに『御衣黄』の名前の由来は、「貴族の衣=御衣」に色が似ていることから。
その名の通り、咲き始めは上質な絹を思わせるペールイエローで、満開になると黄緑色になります。この頃から中央が紅色を帯び、そこから筋のように延びていって、咲き終わりには葉のような濃い緑色と紅色の2色になります。これらの色のうつろいも、御衣黄の奥深い魅力のひとつです。

花弁が10~15枚もある豪華な八重咲き。十二単(じゅうにひとえ)のような趣(おもむき)がある。

葉にまぎれる色なので、注意して見つけたい(看板アリ)。色や形が微妙に違う3種類が植えられている。

御衣黄の桜並木は、昭和33年に三刀屋町商工会(当時)によって植えられた。その後も植樹が続き、今も本数を増やし続けている。

街に守られ、街を守ってきた雲南市の桜。

このように多彩で華やかな雲南市の桜ですが、その歴史は苦難と試練の連続でした。

初めて斐伊川の堤防に桜が植えられたのは、明治の末期だったそう。ですが、大正になると「土手の保全に良くない」と唱える警察署長が現われ、ほとんどの桜が引き抜かれたり、別の場所に植え替えられることに。ですが、桜を愛する町民達(当時)の熱意によって、警察署長の転任後に再び桜が植えられ始めました。

『斐伊川堤防桜並木』が本格的に形作られたのは、昭和の始め頃だったそうです。1本1本に植えた子どもの名札を付けたり、町民が肥料をほどこすなどして、町全体に愛される存在になりました。

ところが、その後再び苦難の時代が訪れます。太平洋戦争が激化した昭和19年に、「桜を薪として供出するように」という軍部からの命令が下りました。当時の町長が必死に周辺の町村に協力を仰ぎ、ようやく桜を守りきれたそうです。

そして翌20年には、斐伊川の堤防が豪雨で決壊しそうになりました。このとき町を守ったのは、今まで町の人々に守られてきた桜でした。数十本の木が堤防を塞ぐために使われて、町は無事に難を逃れたのです。

先人達が苦労を重ねて守ってきた桜。その歴史に想いをはせながら、1本1本を愛でたいものです。

雲南市の桜は“桜守”によって保たれている。美しい絶景は人々との共生の賜物。

斐伊川堤防の桜は樹齢70~80年を数える。その存続は、人の手なしにはありえない。

桜を守る“桜守”と“さくらの会”。

こうして守られてきた雲南市の桜を支えるのは、日々桜のお世話をしている“桜守”です。1年のうち10日ほどの花期のために、355日間、桜を見守りながら手入れしています。

その仕事は雑草刈り・虫の駆除・枝の剪定・肥料やりと多岐に渡ります。寒い日も暑い日も、桜1本1本に目と心を配りながら、その健康を見守っているのです。

この“桜守”の活動を支えているのは、“雲南市さくらの会”。一般会員も募集しており、会員は現在800人以上。美しい桜並木を守る活動に参加してみたい方は、加入してみてはいかがでしょうか?

【年会費】 1,000円/1口
【入会特典】 新規会員に苗木を無償配布(品種は毎年変更/1口につき苗木1本)
【問い合わせ先】 雲南市さくらの会事務局(市役所産業観光部観光振興課内/0854-40-1054)

日々桜を見守る“桜守”。その眼差しと手には深い愛情がこもっている。

開花時季には“雲南市桜まつり”を開催! 盛りだくさんのイベントを楽しもう。

桜と雲南市の魅力により浸れるイベントも、毎年行われています。

雲南市桜まつり”は、開花期の週末に開催。
木次駅前商店街を貫く青空ロングテープルが名物の“雲南食堂”では、地元の食材や、それらから作られた雲南グルメを味わえます。さらに特産品の販売、昭和30年代まで走っていた“花馬車”の運行、街と縁の深い蒸気機関車の展示、特設会場でのステージショーなど、多彩なイベントが行われます(2019年は4月6~7日開催/花馬車の運行は4月3~4日))

さらに桜餅や桜をテーマとしたスイーツ、桜の花の塩漬け、桜のワイン、桜染めのスカーフなど、桜にまつわる様々な食やグッズも並びます。木次牛乳や巨大唐辛子“オロチの爪”などのスパイス、県内随一の生産量を誇る卵などを誇り、食に関して並々ならぬこだわりを見せる雲南市。もうひとつの名物であるグルメも、ぜひ堪能してみたいものです。

毎年大好評の“雲南食堂”。100mのロングテーブルに屋台で購入した地元グルメを持ち寄り、思う存分味わえる。

新たな名物や桜も育成。永く愛される“桜のメッカ”を目指して。

今でも十分魅力的な雲南市の桜ですが、その魅力を未来に引き継ぐために、様々な努力が行われています。

近年人気の早咲きの桜『河津桜』をはじめ、桜博士ゆかりの『笹部桜』など、新たな品種を植樹中。『河津桜』は大東町の春殖地区(JR幡屋駅から赤川を挟んだ対岸)に、『笹部桜』は尾原ダム(JR木次駅から、国道314号線を奥出雲方面に向かって車で約30分)の周辺に、それぞれ植えられています。

先人達が守り伝えてきた桜を、さらに発展させながら次世代へとつなぐ――雲南市の桜は、これからも変わらず人々を魅了し続けていくでしょう。

雲南市の桜の花期は4月上旬~4月中旬。山沿いの街なので、平野部よりも遅くまで楽しめる。

- DATA
雲南市の桜並木

http://www.unnan-kankou.jp/sakura/
島根県雲南市木次町木次(斐伊川堤防桜並木)

雲南市三刀屋町三刀屋(三刀屋河川敷公園)

問い合わせ:0854-42-9770(雲南市 観光協会)

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