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2020年6月3日  -  

【奥出雲そば処 一福/飯南町】出雲蕎麦の伝統を継承しながら革新する、里山の“そば処”!

中国山地の最奥の飯南町頓原(いいなんちょう・とんばら)で大正11年に創業、出雲そばを昭和33年から打ち続けている老舗。
そばの実を甘皮まで挽きこんだ“一本挽き”の黒いそばは、そば打ちの基本である“挽きたて・打ち立て・ゆでたて”の「三たて」を忠実に守った昔ながらの美味しさ!
この味をそのまま楽しめるオンラインストアもあり、そばの実入りドレッシングや国産韃靼そば茶など、蕎麦にこだわった商品も充実している。

出雲そばの伝統を守り続ける、里山の人気店。

寒暖の差が激しく、清らかな雪解け水であふれる島根県飯南町。実は新潟県並の豪雪地帯である中国山地の奥に、この『奥出雲そば処 一福(いっぷく)』はあります。

その特徴は、野趣あふれる「一本挽き」の黒いそばと、こっくりした濃いめの“熟成だし”のつゆ。
そばには独特の風味とコシの強さがあり、この初代から受け継いだ伝統の味を守りながら、日々そば打ちとつゆ作りに励んでいます。

1本の麺棒を使い、丸くのす「丸うち」という方法。代々受け継いだこの技法で、丁寧にのしていく。均等にのした生地を、さらに同じ太さに切っていくと、コシの強いモチモチのそばができる。

『一福』が生まれた飯南町は、島根県下でも有数の高原地帯。町の9割が森林という自然豊かな環境で、そのため山の斜面でもよく育ち、約2ヶ月で収穫できる蕎麦が古くから作られていた。

昔は頓原町の各家庭に石臼があった。これで自ら育てた蕎麦を挽き、そばを手ずから打っていた伝統から、『一福』の滋味あふれるそばが生まれた。

豊かな山野に囲まれた「頓原本店」を筆頭に、西日本エリアに“そば処”を10店舗も展開。

出雲観光のランチに最適な「出雲大社神門通り店」。ほかに「出雲駅前店」や「松江一畑店」など、島根県を中心に多数の支店がある。

飯南町の恵みと伝統の技で、他にはないそばが生まれる! ~ 美味しさの秘密 ~

『一福』の「頓原本店」で提供しているそばは、地元・飯南町産にこだわっています。

その美味しさの秘密は、飯南町特有の“高原気候”にあります。
昼夜の気温差が激しく、ここで育つ蕎麦は、気温の高い日中に作った栄養を、夜中に貯めこんで熟成します。そのため旨味も風味もタップリの美味しい蕎麦になるのです。

また、飯南町は1,200m超の大万木山(おおよろぎさん)をはじめ、中国山地の中核をなす1,000m級の山々に囲まれており、美味しい水に恵まれた環境にあります。
そば打ちにもつゆ作りにも欠かせない水は、神話の山・琴引山水系の、ミネラル豊富で口当たりもまろやかな湧き水を地下100mから汲み上げています。

そのまま飲んでも美味しい名水で打ち、茹で、洗った「頓原本店」のそば。そば通もうなる美味しさなのは、むべなるかなです。さらにこの水で選び抜いた昆布・煮干し・しょうゆをじっくり煮詰めて、芳醇なコクとまろやかさが自慢の“秘伝のつゆ”にしています。

『一福』のつゆは初代店主・伊藤ソメさんが地元の人々に好まれる味を求めて創り上げた独創的な製法。
これを三代目店主が煮沸滅菌と熟成技術を取り入れて全ての店舗と通販で提供できるようにして、4代目の伊藤弘典さんがとりしきる現代までかたくなに受け継いでいる。

つゆの原料は、頓原の湧き水・厳選した北海道産の天然真昆布・新鮮で旨みたっぷりの煮干し・そして創業当時から仕入れ続けている芳醇な醤油。厳選した素材たちが唯一無二の美味となる。

四代目店主の伊藤弘典さん。頓原本店で手ずからそばを打つこともある、生え抜きの職人。

出雲の歴史と文化が香る、古き良き“そば処” ~ そば処のメニュー ~

こうして供される『一福』自慢のそばは、以下のような出雲ならではのもの。
その食べ方や文化も含めて、ぜひ堪能してみたいものです。

●割子(わりご)そば

丸い漆器を3段重ねにした、出雲独特の食べ方。
かつて野外でそばを食べるのに使われていた「割盒(わりごう/重箱の一種)」が由来で、それぞれの器にお好みの薬味を乗せ、つゆを直接絡めていただきます。
出雲そば独特の“一本挽き”の麺の風味が際立ち、そばそのものの美味しさが味わえます。

●釜あげそば

茹でたそばを釜の湯と一緒に盛り付け、だしをかけながら食べるそば。そばの味と香りが濃厚に感じられる、そば好きにはたまらない一品です。

●舞茸天婦羅(温・冷)

飯南町特産の舞茸をカラッと揚げて、釜あげそばの上に乗せたメニュー。食べ応えのある肉厚な舞茸の、えも言われぬ豊かな香りが、そばの風味とハーモニーを奏でます。

創業当時と変わらない味を、そばの香りがあふれる店内で提供。
「野趣あふれる力強い味わいなのに、とても上品で美味しかった!」
「雰囲気たっぷりの店内で、島根ならではのそばを食べられた」
など、“一福”ならず“多福”を感じられるお店と味だと評判。

オンラインストアでは、直営店さながらの味が楽しめる「本生そば」や、常温で保存できる「半生そば」や「乾麺」、「そばかりんと」「そば茶」「そばの実ドレッシング」といった多彩なそば商品をお取り寄せできる。

自宅で出雲そばを味わえる、うれしいオンラインストア ~ 通販の人気商品 ~

『一福』には、直営店のほかにオンラインストアもあります。

吟味を尽くした材料で実直に探究し続けるそば商品は、ご家庭で気軽に『一福』の味が楽しめる」、と好評。出雲の郷土料理であり、“日本三大そば”のひとつでもある出雲そばを、心ゆくまで堪能できます。

オンラインストアのそば商品は、独自の製法で麺の太さやコシなどを、できるだけ手打ちに近い状態に仕上げている。そのため「お店で食べた味と同じ!」という口コミが多い。

●本生そば

「手打ちの味をご家庭でも味わっていただきたい」という想いから生まれた、昭和63(1988)年から作り続けているロングセラー商品。2020年1月現在、累計販売数600万食を記録しています。

製造工程は、手打ちそばに準じて水回し・捏ね・延ばし・切りなどを丁寧に行っています。さらに麺は熱処理せずに、蕎麦の風味を最大限に残しています。

. 熱処理(蒸気殺菌)とは、蒸気の熱で殺菌する一般的な製麺の工程。これにより、常温でも長期間保存できる麺になるが、蕎麦の風味は熱に弱いため味は落ちてしまう。
そのため『一福』の「本生そば」は、要冷蔵で賞味期限も20日ほどと短い。だが「本当に美味しい出雲そばを味わっていただきたい」という想いで、この製法にこだわっている。
(「生そば」の様々なバリエーション)

本生麺ならではのシットリふくよかな食感と、2~3分という短い茹で時間も魅力。

●八割 本生そば

風味とのどごしのバランスが最も良いとされる「八割そば」です。地元・飯南町産のそば粉を使っています。

●石臼挽 本生そば

やはり地元・飯南町産の玄そばを石臼製粉機で自家製粉しています。一般的な“ロール挽き製粉”に比べ、製粉時に熱が発生しにくいため、熱に弱い蕎麦の風味がよく保たれています。

また、麺に残る粗粒が野趣あふれる風味と蕎麦本来の旨味を高め、細粒は麺のつなぎを良くしてなめらかな食感となります。このように、玄蕎麦を粗粒から細粒までバランス良く挽ける“石臼製粉”は、そばの風味・食感・舌触りを存分に楽しませてくれます。

●一福のそばつゆ

『一福』自慢の秘伝のそばつゆ。
『一福』のそばの要でもあるこのつゆは、初代から受け継いだ製法と味を何よりも大切にしながら、専用の工場で作られています。
温かい釜揚げ蕎麦も、冷たい割子そばも、このそばつゆを少しづつお好みの濃さでかけて食べるのが出雲流。出雲そばの特長である、豊かな風味とコシによく合う濃いめのつゆです。

また、直営店で人気の「天丼」のタレも、このつゆがベース。そのまま天丼のタレにしたり、アレンジして別の料理に使ったりと、様々に楽しめます。

「自宅で本格的な出雲蕎麦が食べられる上に、コシとモチモチ感があってとても美味しい!」
「お店で食べたお蕎麦と同じ味でした」
など、旅行で食べた人がファンになってリピートする例が多いほか、お取り寄せグルメやギフトとしても人気を博している。

曾祖母から受け継いだ、奥出雲伝統のそばの味 ~ 『一福』の歴史 ~

『奥出雲そば処 一福』の始まりは、大正11(1922)年にまでさかのぼります。
当初は鮮魚と仕出しを扱う『伊藤商店』として産声をあげましたが、昭和33(1958)年に、現当主の曾祖母にあたる伊藤ソメさんが、当時 食事処があまり無かった頓原で、本業のかたわらに出雲そばのお店を開店。
その名が現在の『奥出雲そば処 一福』でした。

そして“挽きたて・打ちたて・茹でたて”の“そばの三たて”を見事に実現したお店は、またたく間に賑わうように。

さらに三代目の伊藤隆さんは、板前の修業に出て“鮮魚と仕出し”の『伊藤商店』を継ぐはずでしたが、そば打ちが肌に合ってソメさんに手習い。
その隆さんが縁あって参加した他県でのイベントや百貨店の物産展での実演販売も大成功して、以来、全国津々浦々でそば打ちを実演する日々が始まりました。

このとき隆さんが行く先々で見たお客様の反応が、のちの『一福』の礎となったそうです。それは
「“一福の味”を求めてくださる方々に、始まりの地・頓原から本場の味をお届けしたい」
という想い。

そして実演販売から店舗展開、通信販売へと、全国に本場の出雲そばをお届けするようになったのです。

こうして『一福』は、4代目の伊藤弘典さんが切り盛りする現在まで続くことになりました。

初代のソメさんから受け継がれ、60年以上も守られ続けてきた伝統の味は、今なお全国の人々に愛され続けています。
昔ながらの製法を守りながらも、口にする人々の要望も取り入れながら、変わらず “奥出雲の野趣あふれる素朴な味わい”を追求し続けています。

この頓原の地にこだわる理由は、やはり「水」。
「頓原で生まれ育った『一福』のそばだから、ここ頓原の水と気候風土にこだわって、美味しい出雲そばを作り続けていきたい。そば作りに欠かせない水を大事に、これからもそばを作り続けていきたい」
と、4代目・伊藤弘典さんは語る。

本物の出雲そばを日本全国に広める!

「一福(いっぷく)」の名は、初代のソメさんが「お客様や家業に最高の幸福がもたらされるように」という想いで名付けたそうです。それを受け継いだ4代目の伊藤弘典さんは、今後の『一福』についてこう語ります。

「2022年に、弊店は創業100周年を迎えます。それを期して『頓原本店』の改装を計画中で、今後はここ頓原を目的地にしてもらえるような店作りを目指します。さらに地域に根差した企業であるべく、頓原の若者を採用して、地域貢献も行なっていきます。そして通販や卸などを拡充して、『出雲そばを通じて幸せをお届けする』という想いで、全国各地に一福のそばをお届けして参ります」

中国山地の奥座敷から、その風土に育まれた出雲そばをお届け。あくまで故郷にこだわる“そば処”は、それを身上にこれからも歩み続けます。

『一福』の理念は以下の3つ。
一、わたくしたちは出雲蕎麦の伝統を継承し、革新します
一、わたくしたちはおそばのように末ながく幸せと真心を届けます
一、わたくしたちは常にベストを尽くしパーフェクトを目指します
頑固でありながら柔軟に、“本当に美味しい出雲そば”を目指し続けている。

森閑とした里山から、野分(のわき/野の草を吹き分ける風)のように力強い風味の出雲そばが生まれた。
(そばの花)

- DATA
奥出雲そば処 一福

HPhttps://www.ippuku.co.jp/

住所
【本店】島根県飯石郡飯南町佐見977

【本社】:島根県飯石郡飯南町頓原2322


電話
【本店】0854-72-0277
【本社】0854-72-0006

営業時間
【本店】10:30~18:00(L.O.17:30)
【本社】平日9:00~17:00

休日
【本店】月曜不定休
【本社】日曜祝日

料金:割子そば720円(税抜)など

取材協力・写真提供:奥出雲そば処 一福/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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