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鷺舞神事|津和野の弥栄神社に伝わる古典芸能神事

2024年3月3日

鷺舞神事 白鷺(シラサギ)の衣装が美しい、津和野の弥栄神社に伝わる古典芸能神事。
毎年7月20日と27日に、神社の境内や津和野町内のあちこちで舞われます。

古来の鷺舞の姿を最もよく現代に伝承していることから、国の重要無形民俗文化財に登録されています。
さらに2022年には、ユネスコ無形文化遺産にもなりました。

ふだんの弥栄神社は、ケヤキの巨木がたたずむ静かな古社。
お参りすれば心洗われる空間で、鷺舞の絵が入った「鷺舞御朱印」をいただけます。

(初穂料500円/ふつうの御朱印は300円)

「津和野と言えば鷺舞!」と言われるほど有名な「鷺舞神事」。

純白の羽と赤い袴で舞われる華やかな舞で、神事の日は多くの観光客でにぎわいます。

扇のように広がる白い羽や、本物の鷺のような「鷺頭」は、思わず見とれるほどの美しさです。

古典芸能神事

「鷺舞神事」は雌雄2羽の白鷺を演じる2人と、邪気払いをつとめる赤い髪の「棒振(ぼうふり)」が2人、「羯鼓(かんこ)」と呼ばれるユーモラスな合いの手を入れる2人の、合計6人の「舞方(まいかた)」で演じられます。

囃方

さらに笛・小鼓・鐘・太鼓を奏でる「囃方(はやしかた)」が8人と、唄をうたう「唄方(うたかた)」がいて、裃(かみしも)姿の警護役らと共に津和野町内を練り歩きます。

津和野の代表的な行事

かつては子鷺をかたどった鉾(ほこ)を持つ12人と、大傘を持つ6人もいましたが、最近は省略されて鉾は当屋に立てかけてあります。

津和野の夏をおおいに盛り上げる、津和野の代表的な行事です。

鷺舞神事の日程とスケジュール

鷺舞神事

「鷺舞神事」の開催日は、毎年7月20日と27日
20日には津和野町内の11カ所で、27日には9カ所で舞われます。

【鷺舞神事】 ユネスコ無形文化遺産・重要無形民俗文化財
開催日:毎年7月20日・27日
会 場:7月20日…津和野町内の11ヶ所 / 7月27日…津和野町内の9ヶ所

※行列のコースと上演時間は津和野町観光協会HP をご参照ください
観光のお問い合わせ:0856-72-1771
(津和野町観光協会/受付時間:9:00~17:00 (年中無休))

!!鷺舞は厳格な神事ですのでマナーを守ってご観覧ください!!

鷺舞のルーツはなんと室町時代! とても古くて伝統的な神事です。

子鷺踊 「鷺舞神事」の日には、津和野町の子ども達による「子鷺踊(こさぎおどり)」も披露されます。

「鷺舞神事」に先だって町内を練り歩くので、こちらもぜひお見逃しなく!

鷺舞神事の由来と歴史

風流踊り

「鷺舞神事」の由来は京都の祇園祭(祇園会)で舞われていた風流踊りです。

※祇園祭(ぎおんまつり)とは:京都の三大行事のひとつで、八坂神社(やさかじんじゃ/祇園社)の祭礼。 毎年7月1日~31日の1カ月間にわたって数多くの神事が行なわれます。

※祇園会(ぎおんえ)または祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)とも呼ばれていて、鷺舞はその中の「山鉾(やまほこ)巡行」で舞われていました。

京都の鷺舞が室町時代に山口県の祇園祭に伝わって、さらに室町時代の天文11年(1542年)に山口県から津和野へと伝わりました。

津和野

これは時の津和野城主・吉見正頼(よしみ・まさより)公が津和野領内の疫病を鎮めるために請い迎えたため。
以来、関ヶ原の戦の影響で数十年途絶えた以外は、ずっと津和野で舞われ続けてきました。

鷺舞が受け継がれている土地は全国に数カ所ありますが、本来の様式がもっともよく残っているのは、ここ津和野だと言われています。

それを示すかのように、昭和30年(1955年)には、逆に京都の八坂神社の人々が習得に訪れました。

さらに令和元年(2019年)には、津和野の鷺舞が京都に招かれて、元祖の祇園祭で奉納されました。

鷺舞

ちなみに津和野で鷺舞が舞われる7月20日(旧暦の6月7日)は、祇園祭の「渡御の日」です。

これは町の穢れを祓って神様をお迎えする日で、次に舞われる7月27日((旧歴の6月14日)は、再び町の穢れを祓って神様を神社にお送りする「還御の日」となります。

このように、京都の祇園祭ととても縁の深い神事です。

津和野百景図 津和野の幕末の情景を描いた「津和野百景図」には、今と変わらぬ鷺舞の姿が描かれています。

約500年ものあいだ本来の姿を守りながら受け継がれてきた、津和野の夏の風物詩です。

弥栄神社の「鷺舞御朱印」 ~津和野ならではの珍しい御朱印~

鷺舞御朱印

「鷺舞神事」が奉納される「弥栄神社」では、ユネスコ無形文化遺産への登録を記念した「鷺舞御朱印」を授与していただけます。

とても津和野らしい個性的なデザインで、旅の記念や御朱印集めをしている方におすすめです。

【鷺舞御朱印】
授与場所:弥栄神社の社務所
授 与 日:毎週土日
(宮司さんの不在時は無人授与)
※無人授与の間は在庫切れすることがありますので、ご了承ください。
初 穂 料:500円(ふつうの御朱印は300円)

弥栄神社 ~鷺舞神事を守り伝える津和野の氏神さま~

弥栄神社

弥栄神社があるのは、津和野の町なかを流れる津和野川のほとり。
境内には樹齢600年を超えるケヤキの巨木がそびえています。

正式な名前は「彌榮神社」で、その歴史は平安時代の貞観(じょうがん/870年頃)までさかのぼります。

【弥栄神社】
HP:https://tsuwano-yasaka-jinja.or.jp/
住所:島根県鹿足郡津和野町後田59-1
社務所の開所時間:8:30~17:00
(不在の時あり)
アクセス:JR津和野駅から徒歩15分
神社へのお問い合わせ:ホームページのメールフォームより
観光のお問い合わせ:0856-72-1771

(津和野町観光協会/受付時間:9:00~17:00 (年中無休))

滝本祗園社

かつては津和野を見下ろす太皷谷山の上にあって、滝本祗園社(たきもとぎおんしゃ)と呼ばれていました。

それを室町時代の正長元年(1428年)に、時の津和野領主だった吉見弘信公が、領内の鎮護のために現在の場所に移しました。

滝本祗園社

弥栄神社のご祭神はヤマタノオロチ退治で有名な須佐之男命(スサノオノミコト)。
ご利益は厄除けや疫病平癒などです。

現在の社殿は幕末期に建てられたもので、当時の津和野藩の情景を描いた「津和野百景図」にも、鷺舞と同じくかつての姿が描かれています。

※現在の鳥居のみ2023年10月に修復されたものです

弥栄神社の神事 ~津和野の文化と暮らしの源流~

弥栄神社の神事

弥栄神社で行なわれる神事は、津和野の暮らしや文化と深く関わっています。

「鷺舞神事」のほかにも風物詩となっている神事があるので、旅のタイミングが合えばぜひ見学してみてください。

輪くぐり神事 (6月30日)

輪くぐり神事

津和野の夏の始まりを告げる「茅の輪くぐり」。
弥栄神社の本殿前に大きな茅の輪(ちのわ)が置かれて、町の人々が一年の無病息災を祈りながらくぐります。

茅の輪の材料は、津和野の東にそびえる青野山で採れたチガヤ。
青野山はお椀を伏せたような形の可愛い山で、和歌に詠まれたり絵に描かれたりと、津和野の人々に愛されてきました。

津和野では、この「輪くぐり神事」の日から浴衣を着る風習があります。
そのため「輪くぐり神事」の日は、浴衣姿の人々で弥栄神社と町がにぎわいます。

大欅(けやき)注連縄(しめなわ)奉納

大欅(けやき)注連縄(しめなわ)奉納

弥栄神社の境内にそびえる、樹齢600年を超える御神木。
この大ケヤキに7月20日からの「祇園祭」に先だって、注連縄を奉納します。

注連縄は人の世界と神様の世界とを分ける印。
これを結界として、人の世の穢れを祓い清めます。

大欅(けやき)注連縄(しめなわ)奉納

弥栄神社の大ケヤキは、津和野町の天然記念物でもあります。
中心の幹は途中で折れてしまっていますが、脇から何本もの枝が伸びてたくましく茂っています。

幹の周囲は約4mもあって、弥栄神社と共に津和野町を見守ってきました。

弥栄神社の境内には、ほかにも鹿子の木(カゴノキ)の大木などがあって巨木ファンにおすすめです。

弥栄神社の周辺の見どころ ~太皷谷稲成神社と津和野城跡~

弥栄神社の周辺の見どころ

弥栄神社の近くには、「日本五大稲荷」のひとつの太皷谷稲成神社や、かつて津和野藩主の居城だった津和野城跡があります。

津和野城跡は観光リフトでラクラク登れて、秋の早朝には雲海に浮かぶ「天空の城」になります。

※天候によって雲海が出ない日もあります
(詳しくは津和野城跡観光リフトの記事をご覧ください)

太皷谷稲成神社は朱塗りの社殿がきらびやかな、商売繁盛・開運厄除などのご利益で有名な神社。

これらのスポットを巡れば、津和野の歴史と伝統がよくわかります。
江戸時代にタイムスリップしたような気分になれる、おすすめの観光コースです。

津和野町日本遺産センター ~鷺舞神事の衣装と津和野百景図が見られる!~

津和野町日本遺産センター

津和野の歴史に興味があるなら、本町通りの「津和野町日本遺産センター」もおすすめです。

ここでは「鷺舞神事」の衣装や、幕末期の津和野を描いた「津和野百景図」などを展示しています。

「津和野百景図」には、「鷺舞神事」や弥栄神社の昔の姿が描かれています。

津和野百景図

「津和野百景図」とは、津和野の文化や風景・習俗などを描いた記録画。
百枚の絵と絵師自らが記した解説は、まるで壮大な絵巻物のよう!

津和野の歴史と習俗が手に取るようにわかります。

津和野旅行のはじめに立ち寄れば、目にする風景や物事をもっと楽しめることうけあいです。

「津和野百景図」と今の津和野を対比した写真集や、「鷺舞神事」の手ぬぐい、オリジナルのガシャポンなどのレアグッズもあります。

津和野百景図

【津和野百景図 (津和野町日本遺産センター)】

HP: https://japan-heritage-tsuwano.jp/
住所: 島根県鹿足郡津和野町後田ロ253
電話: 0856-72-1901
開館時間: 9:00~17:00
休館日: 月曜 (月曜が休日の場合は翌日)
入館料: 無料 または 400円
※有料入館は特典付/詳細はHPをご参照ください
アクセスJR津和野駅から徒歩5分

津和野百景図

「津和野百景図」は約160年前、最後の津和野藩主に仕えた栗本里治(くりもと・さとはる)によって描かれました。

幕末期の津和野の情景が春夏秋冬、衣食住、文化習俗など、多岐にわたって生き生きと描かれています。
さらにその光景のほとんどを、今も津和野で見ることができます。

「鷺舞神事」や弥栄神社だけでなく、津和野観光の総合ガイド的な施設なので、ぜひ津和野旅行の初めに立ち寄ってみてください。

鷺舞神事 「鷺舞神事」が催される7月20日と27日は、津和野が大勢の観光客でにぎわいます。

交通情報の下調べや宿のご予約など、早めの準備がおすすめ!

- DATA
鷺舞神事

開催日:毎年7月20日・27日
会場:7月20日…津和野町内の11ヶ所 / 7月27日…津和野町内の9ヶ所
※行列のコースと上演時間は津和野町観光協会HP をご参照ください
観光のお問い合わせ:0856-72-1771
(津和野町観光協会/受付時間:9:00~17:00 (年中無休))

!!鷺舞は厳格な神事ですのでマナーを守ってご観覧ください!!


- DATA
弥栄神社(彌榮神社)

HPhttps://tsuwano-yasaka-jinja.or.jp/
住所:島根県鹿足郡津和野町後田59-1

社務所の開所時間:8:30~17:00(不在の時あり)
アクセス:JR津和野駅から徒歩15分
神社へのお問い合わせ:ホームページのメールフォームより
観光のお問い合わせ:0856-72-1771
(津和野町観光協会/受付時間:9:00~17:00 (年中無休))

取材協力・写真提供:津和野町観光協会・津和野町日本遺産センター・津和野町教育委員会・公益社団法人 島根県観光連盟/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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